はじめに
名もなきキャリアコンサルタントこと敬天愛人です。
今回の記事はキャリアコンサルティング技能検定2級 試験対策講座の個別レッスンで実施しているロールプレイの逐語録になります。
個別レッスンでは、実技面接試験出題の仮想ロールプレイを実施し、逐語録を分析してキャリアコンサルティングスキルやカウンセリング技法などの確認を行っています。
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第23回検定に向けて、文字に起こされた逐語録を見て分析して勉強したい方もいらっしゃるでしょうし、私自身もこの受講生のロールプレイをしっかりと振り返ることで、個別レッスンの更なる質の向上はもちろん、指導者としての力を蓄えるチャンスとして役立てております。
さて、キャリコン2級を受験される方は、こういったロールプレイを徹底的に練習されると思います!
その一方で、自分のロールプレイを録音して聞くことや、試験対策講座の先生にその場で指導を受けたりはしていても、文章に起こして振り返った経験は少ないのではありませんか?
実際、逐語録に起こしてみると同じことを何回も言っていたり、ご自身の喋り方の癖や偏りがとても良く分かるものです。
また、マイクロ技法などの細かいカウンセリングスキルのチェックやシステマティックアプローチのプロセスをきちんと踏んでいるかなど、その場のロールプレイや短いフィードバックの指導だけでは、確認・改善が難しいのではないでしょうか。
そんな皆様に、キャリア理論と実際のリアルなロールプレイをご覧頂き、試験やコミュニケーションに役立ててもらえたら幸いです。
そして、そんな細かなスキルまでフォローして成長に貢献していくのが弊社の試験対策講座!
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※上記を実現可能にした試験対策講座、個別レッスンのお問い合わせはこちらからお願い致しますm(_ _)m
CL役はイノウエさん、CC役はスズキさん(仮名)でお送りします。
試験を受けない方でも相談を受けた時やコミュニケーションなどに役立つスキルですから参考にして下さい。
では、行ってみましょ~う!!
相談事例
◆ケース2 イノウエさん 32歳
相談者(以下CLと表記)
キャリアコンサルタント(以下CCと表記)
添削指導
CL1
井上です。
CC 1
井上さん、こんにちは、キャリアコンサルタントの鈴木と申します、よろしくお願いします。
CL 2
井上です、よろしくお願いします。
CC 2
どうですか、ここまでは迷わずに来られましたでしょうか。
CL 3
特に大丈夫でした。
CC 3
残暑厳しいですけど、このお部屋の空調とか暑くはないですか?
CL 4
ちょっと涼しいですかね。
CC4
そうですか、ではちょっと温度を少し調整します。
CL 5
ありがとうございます
CC5
それから井上さんが今日リラックスしてお話しできる位置がいいんですけど敵の位置とか距離感は大丈夫ですか?
CL 6
別にこんなもんで大丈夫です
CC 6
そうですか私はちょっと井上さんの方に向くように動かしてよろしいですか?
CL 7
結構です。
CC 7
はい失礼します。それから前もってお話がいっていると思うんですが今日のお時間は20分ということなんですね。
CL 8
はい。
CC 8
私は井上さんの大切な20分とお時間を管理させていただくのでしっかり時間管理していくという意味で 時計を見やすい位置に動かしてよろしいでしょうか?
CL 9
いいですよ。
CC 9
それから今申し上げた通り20分という時間なので今日でも相談内容が終わらない時は井上さんが望んでもらえたら次回のお約束ができますのでそのつもりでお話いただけたらと思います。
「場面設定」
この辺りまで面談初期の場面設定になりますね、キャリアコンサルタントが行う場面設定とはどんな場面を設定するのか皆さん分かりますか?
木村修先生のキャリアコンサルティング理論と実際にも書かれている通り、カウンセリングの開始では暖かい雰囲気の中でクライアントから安心して話のできる信頼関係を樹立することが大切です。
ではクライアントは安心して話のできる環境はどんな環境なのでしょう?
ご自身が相談者の気持ちになって考えてみても良いと思います。
どんな気持ちでカウンセリングに向かうでしょうか
どんな気持ちで初体面のカウンセラーと向かい合うでしょうか
どんな雰囲気が話しやすいでしょうか
色々と想定して考えてみることは相談者の立場に立ったキャリアコンサルティングの質を高めることにもなりますし、相談者のためを考えてあれこれと思いを巡らせることはキャリアコンサルタント冥利に尽きるので楽しいのではないでしょうか?
私が受講生の方に指導する際は物理的環境と心理的環境を整えることがカウンセリングを開始する上で、初期面談の信頼関係いわゆるラポール構築にとって大切だと伝えています。ロジャーズなんかは母性的な風土などと言ったりしますが具体的にどんな物理的な環境と心理的な環境を相談者との面談場面で設定するのかということについてまずは突き詰めて考えてみましょう。
CL 10
そうなんですね、はい大丈夫です。
CC10
よろしくお願いします、 それでは本日のご相談内容を教えていただけますか。
CL 11
私専門学校で Web について学んでから 最初に広告代理店に入社しまして四年ほど勤務して今現在は Web 制作会社の方に転職してもう8年目になります。
CC 11
はい。
CL 12
あの年内に子供が生まれる予定なんですよ。
CC 12
そうですか。
CL 13
それで婚約者がいまして入籍してこれから家族のためにさらに仕事を頑張ろうと思っていたんですが、そんな矢先にですね・・上司がいるんですけど上司からそろそろプロジェクト管理の仕事やってほしいと言われたんですけど自分にはちょっとの向いていないと思っていましてね。引き受けるべきかどうか悩んでいるんですよ。
CC 13
そうなんですか。
CL 14
今後の働き方も含めて今日は相談に伺いました。
CC14
そうなんですか、井上さんが年内にお子さんが生まれられるということなんですよね。
CL 15
そうですね。
CC 15
そうなんですね、それでお仕事をますます頑張りたいと思ってられた、その矢先に上司の方からプロジェクト管理のお仕事をしてくれって言うふうにお話があって井上さんはご自身向いていないと思われる。
CL 16
はい。
CC 16
それをどうしようかなという思いで今後の働き方を含めての ご相談の内容ということでよろしかったですか?
CL 17
はい、そうですね。
CC 17
上司からプロジェクト管理のお仕事を聞かれた時ご自身向いていないと思われたんですけどどういう風なお話があったんでしょうか?
CL 18
私32歳なんですけど8年目ですし、そろそろ会社の中でも中堅になるので会社の中では管理業務って言うんですか、プロジェクトごとに仕事を受けたりするんですが、そういった管理の仕事というのも上司からそろそろやってほしいということで、そんな形で言われまして自分はその話を受けたんですけど向いていないと思っているんですよね。
CC 18
そうなんですね、中堅になるから管理の仕事もということなんですけどもご自身に向いていないという気持ちがあられて中堅になるからそろそろそっちの仕事もということに関してはどのように井上さんはお感じですか。
「感情への応答」
画面設定が終わりましてシステマティックアプローチを展開していくわけですが、次のプロセスでは人間関係の樹立、ラポールの形成に移行します。
ただラポール形成は最初から最後まで継続的に行っていくアプローチですので、面談初期だけではなく、面談後期の問題の定義・共有、目標の合意や方策の実行でもラポールを崩さないように配慮しましょう。
これはキャリアの赤本の一問一答問題集にも掲載されていますので、ただ単に問題集を解くのではなく、どのように実技面接試験へスキルとして生かすのか、という視点で学ぶと自分のカウンセリングスキルも高まり一石二鳥だと思います。
では、一方でラポール形成するためには何が必要ですか?
そうですね、我々キャリアコンサルタントとしてキャリア理論で、基本的な傾聴技法で、折衷的なアプローチを展開していかなくてはなりません。
特に面談初期で信頼関係が樹立されていない場面では、信頼関係を深めるために相談者を尊重しながら、相談者の抱える問題の裏に潜む内的準拠枠(認知や物事の捉え方)、クライエントの思いや感情について傾聴し、心理面の深堀りをしていくことで相談者を受容し、相談者が抱えている来談の目的や問題がどんなことなのかを共感することで関係構築が深まります。
いわゆるクライアントファーストと呼ばれるものですね、では CL 18の場面で相談者の思いや感情について受け止めているでしょうか
そして、実技面接は20分という時間ですので、感情に焦点を当てる回数も限られてきます。
一般的に初回のカウンセリングであれば、あまり長い時間でなければ2回から3回くらい感情へ焦点を当てると言われております。
キャリア上の問題ではなく心理的な問題ばかりを深掘りしてしまう方が受講生の中にも時折いらっしゃいますので、感情面ばかりにフォーカスする傾向がある方は、自分のロールプレイなどを振り返って感情だけでなく、キャリア上の問題に焦点を当てて深掘りができているのかどうかも内省してみてください。
~約5分経過~
CL 19
まあ言っていることは分かるんですけど、引き受けるべきかどうかっていうのは結構悩んでいますね。まあ上司の言うことは分かる一方でどうしたもんかなーという思いでしょうか。
CC 19
上司の言うことがわかるっていうのは、ご自身もそちらの方の仕事プラスアルファでやらなきゃいけないということは分かるんでしょうか?
CL 20
プラスアルファーと言うか、もう管理業務の方に行って欲しいみたいな感じですね。
CC 20
そうなんですか、うんうん。それで向いていないからどうしようかということなんですが向いていないと思われるところはどういった業務のことを思われるか具体的に教えていただけますか?
CL 21
管理業務というのが向いていないと思いますかね。
CC 21
どういったお仕事の中身ですか?
CL22
管理業務っていうのは全体を統括する仕事なので、人の管理もそうですし資金管理ですとか、後はプロジェクトの作成って言うと色々な物を作ったりするので、技術も含めて全体的な管理をしなければいけないので、管理業務はそういった職務になりますね。
CC 22
う~ん、なるほど。全体統括ということで人の管理それから資金繰りの管理、プロジェクトとして締め日のこととか おっしゃっていただいたんですけど、今のお仕事と比べてどのあたりが一番抵抗があるんでしょうかね?
CL23
う~ん・・・どの辺りと言うか全体的な感じなんですけど、全体的に管理していく仕事なので・・一個一個何をやるか詳しくはわかってはいないんですけど、昔、尊敬していた上司がいたんですけど・・一個上にいるんですけど、その上司が今管理の仕事をやっているんですね。
CC23
その上司が管理の仕事を、はい。
CL 24
昔はすごい人だなぁと思っていたんですけど、今はそういう風になりたいなっていうのは思えなくなってしまったんですよね。
CC 24
うんうん。
CL 25
そこが抵抗があるというか。
CC 25
そうなんですね、その抵抗の部分なんですけど昔の上司が昔はすごい人だったと、今は管理の仕事をなさっていてそうは思えなくなったという。
CL 26
はい。
CC 26
井上さんが考えられる変化点ってどういうところなんですか?
「トランジション」
変化点という表現でも相談者には伝わりますし自分の変化について回答を言語的にできるとは思いますが、例えばこれが2級キャリアコンサルティング技能検定の面談場面で試験管がいるという設定で展開したアプローチだったとしたらどうでしょうか
適正な質問でしょうか?加点が得られる質問でしょうか?相談者がキャリアの問題を解決する役に立つ質問でしょうか?
学科試験と論述試験がある以上それを実技で発揮する実技面接試験はキャリア理論、特性因子論だとか発達理論だとか社会的学習理論だとかそういった学んだことが実践されているかどうかが試されている試験です。
そして実践できているかどうかというのは非言語と言語で試験官が採点をしていますので、キャリアコンサルタントとして自分のアプローチや言葉がキャリアコンサルティングにふさわしいのかどうか常に考えて欲しいと思います。
例えば cc 26では「変化点は」ではなく「転機は」と置き換えてもいいわけです。
転機という言葉であればシュロスバーグ氏のキャリアトランジションの理論が当てはまりますので、採点官としてもトランジションのプロセスで相談者の4 S 点検、例えばシチュエーションだとかセルフについて点検していると判断できますので、加点につながる要素として考えられるのではないでしょうか。
CL 27
あ~、デザインをずっとやってきたんでデザインのクオリティですとかお客さんの評価、そういったものが我々クリエイターって大事じゃないですか。
CC 27
う~んうんうん。
CL 28
すごいねとか、すごいデザインだねっていうのを言われるのが、やりがいとか評価ていうのがあったんですけど、プロジェクト管理になると会議とかも多いですし結局クリエイティブな仕事ってあんまりないので調整役みたいな感じになっちゃうんですよね。
CC 28
う~ん。
CL 29
そうすると才能というか手腕と言うかそういう方向性も変わってきますから、そういうのは結構大きな転換点ではないかなと思うんですよね。 自分が向いていないと言うか抵抗があるのは。
CC 29
は~・・そうなんですか。クオリティの面で井上さんは今 Web デザインの仕事でクオリティーの面でお客さんの評価を得るということで日頃頑張ってらっしゃるんでしょうか。
~約10分経過~
CL 30
やっぱりそこですよね、周りからもデザインすごいねなんて言われると楽しいじゃないですか。
CC 30
う~ん、うんうん。
CL 31
他にもすごい人はいると思うんですけど、社内の中ではそういう評価を受けているので、それがプロジェクト管理になると職種が変わってしまうわけですから、そういったこともなくなるって考えるとどうなんだろうって思いますよね。
CC 31
う~ん、プロジェクト管理になると全体を見なければいけないから、井上さんとしてご自身のクオリティを高めてお客さんの評価を得るということで、周りからもすごいって言われてそちらの方が評価にもつながって、井上さんの感じてらっしゃるやりがいと言うか今面白みを感じてらっしゃる点なんでしょうかね。
CL 32
そうですね、今の仕事に大してはずっとそれでできればね、思っていましたね。
CC 32
今の仕事をクオリティ高くやってらっしゃって非常に頑張ってらっしゃるということなので、そちらの方では締め日とか管理面というのはどうなんでしょうか今は?
「間」
逐語録の文章で見ているとわかりませんが、音声で聞くと相談者が答えてからのキャリアコンサルタントの応答が早い場面があります。
あまりにも応答が早いと相談者が話そうとしていることを遮ってしまうこともありますので、特に相談者が考えていることを言葉に出そうとしている場面や話の途中で腰を折らないように相談者が話しやすいアプローチを心がけましょう。
CL 33
自分の仕事内で完結していますね今は。
CC 33
締め日とか管理面は自分の中で完結しているということで。
CL 34
ある程度妥協しなきゃいけないところもあるんで。
CC 34
まあお客さんに会わせて妥協というようなことでしょうかね。
CL 35
そうですね、時間的な制約がありますからね。
CC 35
うんうん、それが先ほど上司の方の例で言われたように調整役、全体を見なければいけないので自身のクオリティだけではなくなってしまうので、全体の調整という所に重きを置かないといけないというところが井上さんのこだわる部分なんでしょうか?
CL 36
もうデザインから外れるんですよ。 管理業務になってしまうのでデザインはプロジェクトがない時に単発で入った仕事だとか、デザインだけとかがもしあればあるかもしれないですけど、そういう業務からは基本的には外れるんで。
CC 36
デザインから外れる。
CL37
他のデザイナーが代わりに入って管理の下に私が付くみたいな感じになるんじゃないですかね。
CC37
じゃあ井上さんとしてはご自身の今クオリティ高く評価を得て頑張ってらっしゃる、デザインをやりたかったのにそれから外れてしまうということが一番引っかかっている点だと?
CL 38
そこは引っかかりますし・・抵抗あります。
CC 38
そうなんですね、もう一点、お子様ができられるということでますます仕事を頑張りたいという風なお気持ちについてお聞かせ願えますか。
CL 39
年内に子供が生まれる予定なので彼女ともこれから入籍しなきゃいけないし、そう考えると安定的な収入も必要でしょうし・・そうすると職種が変わったりすると不安だなぁとか漠然とありますから、そういったのも結構悩んでいる点ですかね。
CC 39
ますます頑張ろうというところには安定ということから職種が変わるというところに不安をお持ちだと。
CL 40
そうですね・・タイミングが重なっちゃいましたしね。職種が変わって管理の仕事が自分がそこを任されるってなった時に、結構負担は大きいでしょうから大丈夫かなーとかね。そうするとどうなんだろう・・受けるべきかどうかっていうところで悩んじゃってるんですよね。
CC 40
そうなんですね、引き受けるべきかどうかっていうご返事はいつまでにしなくちゃいけないんですか?
CL 41
まあ早い方がいいでしょうね、先週言われたんですけどどうしたらいいか考えられなくて難しい問題だなと思ったんですけど。でも早めに答えが欲しいんだよねって言われたんですよ。
CC 41
早めに欲しいと。
CL 42
来月から始まるプロジェクトがあるそうなんで。
CC 42
来月から始まるっていうのが聞いていられる。
CL 43
はいここ1、2週間で答えを返答しないとですね。
CC43
あ~、1・2週間ということですよね。あの具体的なお仕事の内容というのは来月からお仕事が入るということなんですが、具体的なお仕事の内容どこまでやってもらうとかっていうのは聞いてられますか?
~約15分経過~
CL 44
そこまでは聞いていないですね、とりあえずその話だけで。
CC 44
今の向いていないというお気持ちはお話ししてくださった上司の方とか、どなたかにご相談とかはされていますか?
CL 45
上司にはしていないですね、他のメンバーにもしていないですね。
CC 45
なるほど、なんかそんな今断ろうかどうか悩んでおられるということなんですが、上司の方に向いていないからお気持ちをご相談できないのは何か引っかかってるところがあるんでしょうか。
CL 46
そうですね、結構自分の中でもどうしたらいいか悩んでいるところがありまして、さっき言った子供が生まれる家庭の問題とか、このまま会社員としてやって行くんであればそういう管理の仕事も実際にやっていかなきゃいけないのかなとか、かといって本心としてそれは本当にやりたいかって言うと違うんじゃないかなとか。
CC 46
う~ん。
CL 47
そういうのって自分の中でも整理がつかないんで相談しづらいっていうか。
CC 47
う~ん・・。
CL 48
そういう相談をどの程度していいのかっていうのも悩んでしまいますし。
CC48
なるほどご自身の中でも整理がつかないで悩んでらっしゃるんですね。ちょっとここまでのところでお話を整理させて頂きたいんですが 、今お伺いするとお子様が生まれるので安定してということで、今の会社で雇用を継続していくんであれば管理の仕事も引き受けなければいけないなと一方ではあられる。
CL 49
やっていくわけですからね安定して・・
CC 49
ところが自分としては向いていないし、自分のデザイナーとしてのクオリティを高めていくという意味ではやりたくない分野ではあったということのジレンマで悩んでおられるということで。
CL 50
そうですね、そこが相談しづらいところでもあるので悩んでいますね。
CC50
なるほど、はい。あの相談しづらいということなんですがちょっと私が感じたことを申し上げていいですか?
CL 51
どうぞ、はい。
CC 51
1、2週間で結論を出さなければいけないということで、かたや安定して子供さんの事を考えたら会社の中で職務遂行という意味で仕事をやっていかなきゃいけないという気持ちもあられるけども、向いていないからやりたくないから一歩踏み出せないと言うお気持ちということで非常にジレンマで悩んでると思うんですが、一方では上司の方に相談できないということで具体的に何からやり始めるのかとか、どんなことからやり始めるのかという風に、あとサポートがどうかという情報収集が必要だと思うんですがいかが思われておりますか。
CL 52
どうなんですかね・・情報収集か・・・。例えば何ですか?
CC 52
今までデザイン一筋でクオリティーが高くやっておられて、いきなり管理の仕事でデザインから外れるっておっしゃいましたよね ?
CL53
はい。
CC53
だからサポートもなしにいきなりっていうことはどうなんでしょう?組織の上では考えにくいと思うんですけど。
CL 54
あ~・・・
CC 54
それがどの程度サポートがつくのかとか、引き受ける上では私が感じるのはもっと詳しく上司から聞く必要があると思うんですが。
「NG」
意思決定の共有や合意もなしに推測や未確認情報による意見や提案に近いアプローチになっています。
これはキャリアコンサルタントとしての主観的な意見や価値観を押し付けるようなアプローチとして減点の対象になる可能性が考えられますので気をつけましょう。
CL 55
引き受けるべきかどうかの情報収集ってことですか?もうちょっと詳しく聞かなきゃいけないかもしれないですね確かに。
CC 55
その上司に相談していないということなんですが、そういったことを上司に返事を出す上で聞けそうですか?
CL 56
そうですね上司に関しては・・情報が聞けると思いますけど。
CC56
もう一方でかつての上司の方がその仕事をなさっているとか。
CL 57
先輩ですね。
CC 57
ご自身としてはそういうことをあまりクオリティの高いデザインから外れるのをマイナス面で思ってらっしゃるんですがその先輩の方に実際にお仕事の話とか聞いておられますか
CL 58
いや聞いてないですね、私の印象です。
CC 58
そうなんですか。
CL 59
そのプロジェクト管理の仕事になってから先輩が生き生きやってる感じも見受けられないし・・
ピピピピピ・・・。
ここで時間切れとなりました。
ここから、口頭試問です。
口頭試問
試験官(以下SIKと表記)
キャリアコンサルタント(以下CCと表記)
添削指導
SIK1
あなたの考える相談者の問題点とは何ですか。
CC1
私の考える井上さんの問題点としては、今言われた管理の仕事に対してすごく自己イメージをマイナスに持っておられて、それが自身の決めつけとか思い込みの部分と言うことで認知の歪みがあるんではないかなと考えました。
そこはもうちょっとご自身としては視野を広く、思い込みを回避するようなご理解が必要なんではないかなと思いました。
かたや子供ができるということで安定的に今の仕事で仕事をしていく上では引き受けなきゃいけないと思ってらっしゃる本音の部分が聞けましたので、それについてはそうしなきゃいけないというご自身の立場があるんですけど、それに向けての情報収集とか一歩踏み出すアクションプランにつながっていないということで、情報収集不足と管理の仕事面での決めつけだけでの仕事理解の不足、それから上司の方だとか先輩の方に対する情報収集不足においての相談ということのコミュニケーション不足も感じられました。
SIK2
今のロールプレイで良かったところと改善点があれば言ってください。
CC 2
言われた管理の仕事について向いていないから悩む気持ちというのを、うなづき・あいづち・感情の反映ということでお気持ちは受容できて傾聴に徹するように進められたということ、やはり子供ができるということを考えても自分のライフプラン面でその仕事は今の会社では引き受けなきゃいけないという本音の部分までお聞きできたところはよかったです。
それから改善点はやらなきゃいけないという本音までお聞き出来たんですが、ただ踏み出せない自分がいるのでそれを具体的に一歩踏み出せるようなご支援ということで、何ができたらということで目標を共有までアドバイスをさせていただいたんですけど、ご自身の気づきから目標の合意まで至っていないというところが改善点です。
「適切な助言」
目標の行為まで至っていないのにアドバイスをしているということは自分の価値観の押し付けになってしまいますし、相談者の意思決定を尊重せずに一方的な情報提供や助言を行うことは2級実技検定では基本的には NG になると思います。
むしろそこについて普段からそういう傾向が自分にある点や、今回の面談で自分を正しく振り返ることができたとしたら加点に繋がる可能性も高いと思われます。
SIK 3
次回の相談機会があればどのような方策を実施したいと考えていますか
CC 3
問題点ということで情報収集ができていないということで 合意までえられたので、具体的にいつ上司や先輩に情報収集していくかというのをちゃんといつまでにできるかというのをお聞きできなかったんですけども、次回のお約束をした時点で情報収集の期限を決めて次回は情報収集してくださった中身を提示いただいて、ひとつひとつご自身が管理の仕事に一歩踏み出せるような後押しできるというような支援を情報収集した内容を一緒に払い出して検討していきたいということをやってきたいです。
「観察技法」
相談者から抵抗がないことや言葉だけで合意が得られたと判断するのではなく、相談者の表情や雰囲気なども関係構築ができてきたと思う面談後期だからこそ配慮する必要があります。
初回面談で本音を語るカウンセリングなどは現実にはほとんど存在しないのではないでしょうか。
ということは少なくとも相談者との共有や合意のない問題解決や目標設定はほとんどがキャリアコンサルタントの独りよがりでありこれをやった方がいいという思い込みなのではないかと自分のアプローチを振り返ってみましょう。
心理学的に言わなくても、人間は自分にできると思ったことしか基本的に自らやりませんし、メリットや動機付けがない状態で、勝手にやる気を出して一人で行動することができる方ならおそらく相談には来ないのではないでしょうか。
特に面談後期ではクライアントファーストで機微な変化も感じ取れるように相談者の自己変容に注意して面談を進めましょう。
SIK 4
今のロールプレイで相談者との関係構築はできたと思いますか。
CC 4
関係構築についてはご自身が管理の仕事を急に言われて自身に向いていないとか、やりたくないというお気持ちについて悩むお気持ちについては傾聴して受容・共感で寄り添えたということでラポールが形成できたと思うんですね。最後にやはり子供ができるということで今後のライフプランを考えていく上で、今の会社では引き受けなきゃいけないというふうに思っているという本音の部分まで 引き受けなきゃいけないけどやりたくないという本音の部分をお聞きできたという点で、私との信頼関係ができたから本音を出していただいたと考えております。
「問題解決は誰のためか」
その本音の部分の解消に向かっていけばいいのに方策が情報収集になってしまいましたね。情報収集はアクションプランでありどうやるかという方策です。
相談者は安定的に働かなきゃいけないというジレンマを抱えている、でも相談者はプロジェクト管理の仕事を受けたくない、そこで意思決定支援を行っていないから、意思決定支援プロセスが抜けてしまっていることによって、問題の共有や目標の合意に至っていないということが今回のロールプレイの一つの大きな課題点です。
例えば本音を言ってくれたんであれば、その本音の部分があるから受けたくない理由が相談者にはありましたよね。
そうしたら例えばキャリア理論であるジラット意思決定プロセスである予測システムを使い、引き受けるという選択行動に起こり得る結果を予測させる、次に安定したお仕事ができて今後の見通しが一つ立つメリットについても予測させ相談者に結果の望ましさの程度を評価していただく。
その一方でデメリットってどんなことですかと確認し、そうするとデザインが出来なくなって自分がやりたいことができなくなることを予測させて評価していただく。
そして、その双方を比較検討して評価することで井上さんどう思いますか?と、問いかけてみるとジラット氏の意思決定支援プロセスで結果の評価と洗濯というプロセスを踏んだことが試験管にも伝わりますし、相談者からは問題の共有や目標の合意に近づく一歩が踏み出せるような気づきにつながるのではないでしょうか?
どちらの方がメリットが多いんでしょう?とか、どちらが自分の方向性として良いのか、デザインをやっぱり優先してやっていきたいのか、こういう簡単な問いかけでも、引き受けるかどうかを井上さん自身が決めるきっかけにつながります。
例えばデメリットの方が大きい、引き受けないほうがいいということであれば、引き受けなかったらどうなるのかということを次回から整理していきましょうか・・とか、実際に引き受けなかった人はこれまでにいるんでしょうか?とか、引き受けなかった人がどうなってしまったのか?ということを情報収集することが出来れば、自分がこれからどうなるかを予測して評価することが出来ます。
このようなアプローチにより相談者の意思決定に向けての方向性が見えてきますので、今回のロールプレイではこの意思決定支援プロセスを省いてしまったことで、相談者ではなくキャリアコンサルタント主導で面談後期は進んでしまったのかなと思います。
相談者の立場や気持ちを察すると、情報収集をやれって言われるような感じがしていると思いますし、その前に「引き受けるべきかどうかの意思決定を俺はしたいんだけど」と、本音では思っていたのではないでしょうか。
相談者の主体的な意思決定を尊重し、今後の方向性について予測や評価をしてから意思決定し、具体的なアクションプランに移行していく。
もしも面談の中でこれが終わらなければ、ここまでの面談を整理し次回からどういう風に面談を進めていくのか、お互いで確認しながら終了時間を迎えたほうが建設的なキャリアコンサルティングと言えるのではないでしょうか。
一回で終了するようなカウンセリングは基本的にはないわけですが、相談者は一回のカウンセリングで答えが欲しいし、結論が出ると思い込んでいるわけです。
本音の部分をきちんとキャッチして、それを解消するための意思決定をしないといけないのでここは特に意識して、相談者の意思を大切にして、キャリアコンサルティングを進めていただきたいと思います。
相談者の真の問題にしっかりアプローチできると、相談者も納得感がありますし、自ら一歩踏み出せるような考えや意思が湧いてくる浮かんでくるんではないでしょうか。
そこをいかに説明して計画的なプロセスでキャリアコンサルティングを進めていくことができるのか、我々にはそういった中長期的な視点で計画性を伴ったキャリアコンサルティングが求められていることを忘れないでください。
SIK 5
はい、では本日はお疲れ様でした
CC 5
ありがとうございました。
おわりに
さて、「第22回キャリコン2級検定対策講座ケース➁パート5 逐語録添削編まとめ」は如何でしたか。
さて、皆様なら、このロープレの課題点についてどのように分析し、フィードバックやアドバイスを行うでしょう?
企業分野のキャリアコンサルティングで求められていることは何でしょうか?職業能力開発や職業生活設計支援する上で大切なことは何か・・・色々と考えさせられるテーマだと思います。
今回もこのように必要に応じて逐語録や添削指導を作成し、個別レッスンで確認するポイントを指導させて頂くつもりです。
キャリアコンサルティングのアプローチは無限に視点があるので難しいですが、2級検定という性質上、公平に試験官が採点をするわけですから、押さえておくべきキャリア理論やスキルのポイントは必ず一定値存在するはずです。
そこを正しく認識して、押さえておくことはもちろんですが、一発勝負である本番の実技面接で人間相手に実践するスキルも必要です。
2級検定の合格を目指す方は、引き続き自己研鑽に励んで頂く一方で、国家検定という測定であることも意識して欲しいと思います。
検定は普段のカウンセリングやあなたのスキルを否定するものでなく、とある日の、ある一定のキャリコンスキルを点で見ているに過ぎませんが、 その一方で、少なくとも積み重ねた努力が多ければ多いほど、その一点で実力が発揮される可能性が高まるわけです。
なお、皆さんが自己の面談プロセスを客観的に振り返って頂く際は、ラポールはどうか?関係構築は?CL・CC問題把握は?目標設定は?方策の実行は?
それぞれシステマティックアプローチに沿って確認すると、全体の構成の自らの課題点が見えやすいと思います。
また、キャリアコンサルタントとして把握する問題点に関しては、キャリアガイダンスのプロセス(自己理解・仕事理解等)を活用して相談者が気付いていない問題点をCCとしての見地から見立てていきましょう。
本日もお忙しいところ、お読みいただきありがとうございましたm(_ _)m
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試験対策講座関連の過去記事はこちらです、
合わせてお読み頂けると役に立ちますし大変ありがたいです。