お陰様で8年目!キャリコン試験対策講座▶1級技能士の個別レッスン

キャリア理論の実践で1級&2級に合格したメソッドを基に延べ700名様以上の合格力を養成してきた1級技能士の87万PV越えブログ!

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【第19回キャリコン2級検定】 仮想ロールプレイケース4&口頭試問まとめ

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はじめに

名もなきキャリアコンサルタントこと敬天愛人です。

 

現在開講中の第20回キャリアコンサルティング技能検定2級試験対策講座。  

www.careerlife.jp

この講座の中で、実技面接試験出題の仮想ロールプレイを実施し、

逐語録を分析してカウンセリング技法などの確認を行っています。   

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キャリコン2級を受験される方は、

こういったロールプレイを徹底的に練習されると思います。

 

でも、皆さんは自分のロールプレイを録音して聞いたり、

試験対策講座の先生に指導を受けたりはしていても、

文章に起こして添削されたことはあまりないのではありませんか?

 

案外、同じことを何回も言っていたり、

マイクロ技法などの細かいカウンセリングスキルのチェック

システマティックアプローチのカウンセリングプロセス

きちんと踏んでいるかなどは、その場の相談支援や指導の会話だけで

確認しきれていないのではないかと思っています。

 

そんな皆様に、キャリア理論と実際のリアルなロールプレイをご覧頂き、

試験やコミュニケーションに役立ててもらえたら幸いです。

 

添削をしながらロールプレイが見れる指導編となっております。

 

※ロープレ内容につきましては、試験と全く同条件の表示はできませんので、

基本情報等は変更しておりますが、キャリアコンサルティングスキルの

確認という視点であれば、それほど違和感はないかと思います。 

 

CL役はマツダさん、

CC役はスズキさん(仮名)

指導・添削は私でお送りします。  

 

試験を受けない方でも相談を受けた時や

コミュニケーションなどに役立つスキルですから参考にして下さい。

では、行ってみましょ~う!!

 

相談事例

◆ケース4 マツダさん 53歳

相談者(以下CLと表記)

キャリアコンサルタント(以下CCと表記)

確認ポイント(以下KAと表記

 

CL1 

こんにちは。 

CC1

本日担当するキャリアコンサルタントのスズキです。

 

CL2 

あ、マツダです。 

CC2

マツダさん、まず最初にお話をさせて頂くのですが、

我々キャリアコンサルタントは法律で規定されている

守秘義務というのがございます。

ここでお話されたこと外に漏れることはございませんので、

安心してお話ください。

また、今日はお時間20分です。

出来る限りお話をお伺いして行きますのでリラックスしてお話して下さい。

椅子の位置は大丈夫ですか。

 

ラポール形成(心の架け橋)は「冒頭」から

KA 

このCC役の方は声の質・量が安定していて、 

落ち着いた雰囲気で良いスタートが出来たと思います。 

 

コーヒーカップモデルのリレーションも同様に大切です。

【リレーション(関係構築)の基本「言語的スキル」】

  1. 受容
  2. 繰り返し
  3. 明確化(感情・意味の意識化)
  4. 支持
  5. 質問(閉ざされた質問・開かれた質問)

以上の5点をチェック!

※意味の分からない方は自分で調べた方が身に付きますし、

 咀嚼できるようになるまで練習すると自分への素晴らしいGIFTになります。

 

CL3 

はい、大丈夫です。 

CC3 

すいません時計の方こちらへ向けさせて頂いて大丈夫ですか

(はい、結構です)

ではマツダさん20分でお話を聞いて行きます。

よろしくお願いします、今日はどうされましたか。

 

「非言語的スキル」座る前に確認すること

KA

言葉遣いも全般的に丁寧で、

非言語的スキルも問題なく良かったと思います。 

一方で、ジェスチャー・・・というか手の位置が落ち着かない印象があるので、

ロールプレイ中にさすったりして細かく動かすとCL役も

気になってしまう可能性がありますので改善して行きましょう。

今回のロープレでは意識されて改善し、動きが減っていて良かったですね。

そういうクセがある方は第三者に客観的に評価をしてもらうか、

自分を録画して確認してみるのもいいかもしれません。

【非言語的スキル】

  1. 視線
  2. 表情
  3. ジェスチャー
  4. 声の質・量
  5. 席のとり方
  6. 言葉遣い
  7. 服装・身だしなみ

以上の7点をチェック!

 

CL4 

はい、私大学卒業後に和菓子の製造販売会社に入社しまして、今は総務部長をさせてもらっています。もう長いもんで大学3年の時にアルバイトで入ったのでもう30年ですかね。ずっとお世話になってます。昨年・・・社長が亡くなりましてこの3月で廃業することになりました。従業員の再就職先なんかはですね、私の方で取引先にお願いして何とかなったんですが、私自身が会社から紹介されている仕事はあるんですが、まあ務まる自信が無くてですね、ちょっとどうしたらいいか分からず悩んで相談に来たんですが。 

 

「はげまし、支持」

KA
「そうなんですね」は、マイクロ技法でいう最小限度のはげましです。

CLの応答に対するもっとも単純な応答は、

「ふんふん」「なるほど」「そうですか」などの相づちを伴う

うなずきであることを覚えておきましょう。

最小限度のはげましを「はい」「ええ」「そうですか」と、

きちんと相づちを入れていて良かったと思います。

「社長が亡くなりまして」に、声のトーンを合わせての相づち、

表情をミラーリング、話すスピードもここまで良いペーシングで来ています。 

 

CC4

そうなんですね、マツダさんは大学を卒業して今の和菓子製造会社に

入社されて30年・・・凄いですね、長くお勤めされて、

それで総務部長をやってらっしゃるということで

(そうですね、3~4年くらい前から社長に言われて)、

それは社長からの評価が高かったんですね。

 

 

 

CL5 

そうですね、まあ 任せるよってことで・・・はい、頼まれたんでけど。

CC5

そうでしたか、その社長が亡くなられて、

今いるところが廃業となるということで、

他の社員さんは就職先が決まったけれども、

マツダさんの方は紹介を受けているところもあるけれど

ちょっと今務まるかどうか自信が無いというご相談ということで宜しいですか。

 

CL6 

はい、そんなとこですね。 

CC6 

その辺をもう少し詳しく、

今お感じになっている気持ちなどを聞かせて頂けますか。

 

「3つの同じ意味」チャンクダウン

KA

「もう少し詳しく」は思考をほぐす良い質問の仕方なのですが、

更に素晴らしいのは「今お感じになっている気持ちなど」という表現を使って、

CLの話す流れを「うながす」ことが出来ています。

同じ意味でも、表現の仕方次第で相手からの印象を良くも悪くも出来ますからね。

質問をかぶせる時は相手に答えて頂くわけですから、出来るだけ丁寧に、

分かりやすく、説明して促す、場合によっては承認して勇気づけて

発言を促すなども、実技試験の舞台や普段の相談ケースにおいても

コミュニケーションを円滑にしてくれるはずです。

例えば、

  1. 「もう少し詳しくお話頂けますか」
  2. 「もう少し詳しく今お感じになっている気持ちなどを聞かせて頂けますか。」
  3. 「とても悩まれて本日はご相談にいらして頂いたのですね、ありがとうございます。マツダさんのそのお気持ちを一つ一つ整理しながら、お話を伺いたいと思いますので、詳細や気になる点をもう少し詳しくお聞かせ願えますか」

実は1~3は全部同じ意味のことを言ってます。

 

どの言語表現が相手に受け入れやすい印象になるでしょうか・・・。

 

3までいくと、ちょっとくどいかもしれませんが、

本気で悩んでいる方や国家検定という視点で考えると、

大げさというより、CLは救われたような気持ちになるのではないでしょうか。

私自身は第一印象で3のように言われたら、発言を促されたら、

この人なら安心して話せそうな気がして、少し心を許してしまうと思います。

こういった表現もテクニックですし、「開かれた質問」を際立たせてくれます。 

我々CCが問題把握するためにも真に迫る有効な技法ですね。 

 

 CL7

長くやってきまして、30年ですね。

私はアルバイトの時から社長にはお世話になっていて、

就活なんかも当時は就職難というわけでもなく、

会社の社風も良かったし、仕事も面白かったので、

そんなに就活もせずに今の会社に直接入ろうかなと。

そこから色々な仕事をさせてもらって部長になったんですけど・・・

まあね、社長も70過ぎてたんでね・・・

色々苦労もされていて大変だったんでしょうね。去年亡くなってしまって。 

CC7 

とても残念なことですよね・・・。

 

「感情への応答」

KA

もう少し感情への応答を丁寧にしてもいいですね。

「社長とは本当に長いお付き合いをされていて、

会社ともご縁があって長い間働いてこられたのですね」とか。

そして、

「社長が亡くなられたことについてはマツダさんどのようにお感じですか」

と、続けると関連性&一貫性があって話がスムーズかもしれませんね。

社長が亡くなったという転機によって、マツダさんが抱える問題点は何か、

感情の応答と開かれた質問で問題把握していきます。 

問題把握するための「問いかけ」も大切です。

 

CL8 

長い付き合いでしたから私としてはショックでしたね。

CC8 

そうでしょうね、ずっとね、大学卒業してからそこに入られたということは、

社風も気に入ってとおっしゃってましたけど、

社長さんのこともマツダさんにとっては大きな存在だったのでしょうか。 

 

CL9 

そうですね、社長はやっぱり私に目を掛けてくれたというのもありますし、

社長を中心によくまとまった会社というか働いている方の感じも良くて、

自分たちの仕事をやりながら盛り立てていくような会社でしたから。 

CC9 

う~ん、その中の一員としてマツダさんも頑張ってやってこられたのですね。 

 

「いいかえ」で関心を示す

KA

「いいかえ」にはいくつかバリエーションがあるのですが、

CC9では「一員として」整理し、関心を持って聴いているよと、

発言内容に沿いながら後押しするような技法になっていますね。

私が知っている4つの「いいかえバリエーション」には、

  1. 関心
  2. 展開
  3. 内容の具体化
  4. 気付きの促し

の4つがあります。

同じ「いいかえ」ですが、細かく使い分けるとこんな感じです。

まずは大枠で「繰り返し」(安心感・問題点の確認作業)を覚えてから、

「いいかえ」でバリエーションを増やすと相談スキルの厚みが増すと思います。 

 

CL10 

一筋でみんなのために30年、

会社のために社長のために頑張ろうとやってきましたので。 

CC10 

そうですか、突然のことで社長さんが亡くなられて、

廃業と聞いたときはどんな風にお感じになられましたか。 

 

「トランジションの前後」

KA

ここはトランジションの前後にかかりそうなところですね、

社長の死と廃業、この相談者が悩むきっかけとなったところと言えます。

ということは、

この転機をどのように乗り越えるかという前向きさを引出すために、

このトランジションをCLがどのように捉えているかという

自己・状況を点検するのが、みなさんご存知4S点検ですよ! www.careerlife.jp

シュロスバーグ氏も提唱していますが、キャリアの転換とは、

社会的・組織的要因によってもたらされるものですから、

自らこれを上手にキャリアマネジメントする工夫が必要になります。

いわゆる自己資源(リソース)の整理ですね。

そのためにもトランジション前後の自己と状況に気付きを促すということは、

自己変容を支援するような関わり方で大切だと私は思っています。 

日本式?(論述試験)のキャリアコンサルティングプロセスに当てはめると、

自己理解と職業理解を促すのと同じような考え方でいいと思います。

認知の歪みに気付きを促すとも言えますね。

 

CL11 

社長には奥様もいますし、息子さんも二人いて、

廃業するかどうか亡くなった時に話し合って、

役員や部長、課長とも話し合ったんですけど・・・

30年やってくるとそれなりの商品もありますし、

経営的には問題なくやってましたから、

継続することもできたかもしれないんですけど。

機械設備なんかの状態や先々のことを考えると、

大手の会社に飲み込まれていますんで、

ご家族の方もこれを機に廃業して事後処理して行こうかと。

自分としてはやっていきたかったですけど、しょうがないですよね。 

CC11 

寂しい気持ちと致し方ないのかなというお気持ちが強いのですね。

出来ればその会社で長くやっていきたいお気持ちがあったからこそ、

そういうお気持ちになってらっしゃるんでしょうね。

 

「要約・感情の反射」

KA

内容を整理するための「要約」ですが、ここでは

「寂しい気持ちと致し方ないのかなというお気持ちが強い」という言葉で、

まとめながら会社で長くやって行きたいという感情の反射をしています。

マツダさんは心理的に葛藤していて、少し整理出来ていない状況ですから、 

とても良いアプローチが出来ていると思います。

 

CL12  

そうですね、

自分がお世話になった会社が亡くなるのは寂しいものですし、

それで再就職紹介されてますけど、

実際に気持ちを切り替えるっていうのは色々な思いがありますし。 

CC12 

そんなお気持ちを例えばどなたにお話しされたりはしたんですか。 

 

「自己資源の気付きを促す/リソースの4S点検」

KA

CLが悩んでいる気持ちを察して、誰かに相談したのかを確認しています。

「どなたかに」で開かれた質問を展開・・・、それと、

本人がそういったサポートしてくれる自己資源に気付いているか、

それを活用できる自己(性格傾向)・状況なのか見立てながら

質問していくと問題の評価、深堀がCC視点で出来てきますね。

 

CL13 

同僚とか課長なんかは話をしました。 寂しいよねと。

課長なんかは私より年齢は少し若いですから、

働かなきゃいけないよねって話もして。

妻にも廃業が決まったら、その辺の話はしましたけどね。

CC13 

奥様はなんておっしゃってましたか。

 

「自己資源の気付きを促す/リソースの4S点検➁」

KA

ここもCC12からの流れで関連性のある質問を

「開かれた質問」から「閉ざされた質問」に変更して

CLが相談出来ているのかどうか事実確認をするいい流れですね。

ここが結構ポイントでして、相談出来ていないとCC視点で問題定義すると、

コミュニケーション不足という問題把握で見立てられますし、

相談出来る状況にあるのに気付いていなければ情報収集不足

そもそも相談しない一人で抱え込む性格に問題があれば自己理解不足

いわゆる自己・状況に対して認知の歪みの問題把握が出来るわけです。

 

CL14 

この会社に思い入れがあったこととか、社長には公私ともにお世話になってましたから、社長さんが亡くなって寂しいよねと励ましてはくれましたよね。

CC14 

奥様もずっとね、そういうマツダさんのことを見て応援してくれていたし、

同じように寂しい思いは感じてらっしゃるんですね。

今後の話なんかは何かされたんですか。

 

「心理的支援から物理的支援へ」

KA

家族の心理的支援(4S点検/サポート)に続き、

「今後の話」物理的支援(時間軸)の整理をしています。

CLに中長期的な視点で考えさせることで、

キャリアビジョンはもちろん、

キャリアプランニング不足にも気付きを促すことができますね。

感情の応答から関連付けて気付きを促す作業が出来ると、

ロールプレイの一貫性を保てますし、

自然な流れで会話を進める「うながす」技法になります。

「奥様のサポートもあるということでマツダさんのお人柄が分かります」

など、承認や賞賛を挟んでも良いかもしれません。 

 

CL15 

再就職の紹介はされているけど、

なんか気持ち的に吹っ切れないんだよなと話しました。

妻もそっか・・・という感じで。妻はパートで働いているんで、

具体的にあーしろとかこうしろみたいなことは無かったですけど、

子供たちのこともあるし、少し前向きに考えなきゃねと言ってましたけど。

CC15  

それを聞いてマツダさんはどう思われましたか。 

 

CL16  

そうは言われたものの前向きになれない点もあるんです。

再就職先は取引先のスーパーで管理職候補の仕事で、

まずは主任になるために少し仕事を覚えて欲しいと。

そういった紹介についても前向きになれなくて。

CC16 

管理職候補でお話があるってことは素晴らしいことですけどね。

 

「一般的にはどうなのか考えさせる」

KA

確かに、53歳で会社が廃業して再就職が管理職候補は良い話です。

しかし、言語表現がCCの価値観っぽい、CCがCLの立場だったら

どう思うかという言い方になってしまっています。

ここでは、マツダさんに管理職候補のお話が、どうして素晴らしいことなのか、

一般論で概念化してあげてから、お伝えしたい場面です。

例えば、

「再就職の条件面などの詳細は存じ上げませんが、一般的に考えても中高年の再就職は厳しいのが現実です。そんな中、管理職候補として紹介されているということは、マツダさんが高い評価を受けている、今の会社で認められていることの証だと思いますね」

という言語表現にすると、

  1. 再就職条件の詳細を調べる必要性
  2. 中高年の再就職について一般論として概念化
  3. マツダさんを客観的評価をもとに承認する

この3つが同時にできますので、たくさんの気付きを促し、

励ますことも出来ますから、覚えておくと便利です。

これでしたら、CCとしての価値観を全く出さずに、

マツダさんを勇気づけるきっかけとして展開出来ると思います。

CC17で賞賛してくれているので、理解は出来ています、良いですね。 

 

CL17 

確かにありがたいですよね、私も53ですから。 

CC17 

今までの実績だったり、マツダさんのお人柄を評価されてのことでしょうし。 

  

CL18 

比較的いい会社にみなさん行けることになって、

会社としての信頼もありましたし、

仕事ぶりなんかも認められたのかなと思います。 

CC18 

それは凄いですね。それは社長さんが素晴らしい方だったんでしょうね。

その一方でマツダさんがいて、

男性としては社長さんに惚れ込んで頑張ってこられたのですね。

 

CL19 

そういうとこありますよね。社長のお人柄もあるし、

その後に私を総務部長として抜擢してくれて、

そういう社長の良い面は真似するようにやってきたつもりです。 

CC19 

だから先ほどおっしゃっていた虚無感というか、

先に進まなきゃいけない気持ちも分かってはいるけど、

今の自分のお気持ちをどうしたらいいか持て余している感じですかね。

 

「感情の明確化」

KA

感情への応答をしながら、マツダさんがどんな気持ちなのか、

「分かってはいるけど、どうしたらいいか持て余していると、

感情の明確化をして気付きを促そうとしています。 

このように、感情への応答・要約・いいかえ・はげまし・繰り返し・感情の反射・感情の明確化などを丁寧に展開するクセをつけていくと、試験だけでなく実践スキルも飛躍的に上がっていくと思います。

どんな相談者が来ても安定的に面談できるスキル、熟練CCとして求められるレベルに到達したと言えるかもしれません。

 

CL20 

少し整理出来ない踏み出せないというか・・・

ぼーっと考えてしまう状況ですね。 

CC20 

お気持ちはそうですよね、30年もいらっしゃたのですもんね。 

ただ、先ほど整理して前に進まなくちゃとおっしゃってましたけど、

マツダさんはどうしたら整理して前に進めそうな気がしますか。 

 

CL21 

ん~、どうしたらいいすかね。 何から考えればいいんでしょう。

CC21 

そうですね、社長さんだったら何と言って送り出してくれたでしょうかね。

 

CL22 

はあ・・・そうですね。

社長は、私も仕事には本当に真面目に取り組んできたんで、

そういう実直さというか会社への貢献ていうんですか、

そういうところをよく褒めてくれてたんですね。

だから、他の会社に行ってもお前ならそういうところを生かして

頑張ってやっていけるからと言ってくれたような気がします。

CC22 

だから総務部長まで任せてくれたんですね。

 

CL23 

はい、そういうところを評価して総務部長にするんだよと。

みんなお前のそういうところを見ているから納得感もあるよと

言ってくれてましたんで。

社長を見習ってやってきた結果なんですけどね。

CC23 

じゃあ尚更じゃないですかね。

会社の鑑って社長さんであり、

総務部長さんだって一つの顔になりますからね。  

 

CL24 

まあ、時にはそういう時もありましたね。

CC24 

それをやってこられたということはとても評価が高かった、

まして取引があった会社さんから管理職候補で来てくれなんて

なかなか無いような気がしますが如何ですか。  

 

CL25 

はい、ありがたい事だしチャンスと言えばチャンスなんですかね。

社長が亡くなって廃業しちゃったんでやっていけないわけですもんね。

CC25 

チャンスっていうのはどういうところをチャンスだと思われているんです? 

 

「言語追跡」

KA

チャンスというCLの前向きなキーワードをしっかり捉えてますし、

心の枠組みにそった傾聴姿勢が取れている証拠ですね。

マイクロ技法のかかわり行動「言語追跡」をしっかり実践しています。

 

CL26

やっぱり自分を評価してくれている会社、そういうところで

今までやってきたじゃないですか。

認められて評価も得てきたわけですし、貢献するとか。

そういう場所をもらえるチャンスというわけですもんね。

CC26

評価してくれて、認められて、誰かの役に立っているというのが、

マツダさんにとってはやりがいを感じているのかなと

思ったんですけどその辺はどうですか。

 

「キャリア・アンカー」

KA

キャリア・アンカーを確認するとまでは状況的に言えませんが、

予測する事、そしてCLの内的キャリア、価値観や行動様式を確認することで

やりがいという前向きな肯定的要素に気付きを促そうとしています。

 

「いいかえ(気付きの促し)」

KA

CLが承認され貢献するチャンスを得たことを別の表現、

「やりがい」に置き換えることで気付きや洞察を促しています。

ここの応答も「やりがい」から主体的な意思決定を導く

やりとりが意識出来ていると思います。

 

CL27

う~ん、そうかもしれませんね。そういう面で社長も評価してくれたし、

同僚とかもマツダはそういうところあるから

出来るよとよく言われたんでね。

その辺は私も良く理解していなかったところかもしれません。

CC27

そういうのを考えたら、

いずれは前へ進まなくちゃいけないわけですよね。

 

CL28

このままじゃ確かにいけないですよね。

そういう意味では再就職をもっと真剣に考えないといけませんね。

取引先なんでなんとなく知ってますけど、

細かい条件なんかも確認してないですし、

いつまでに答えをというのもあるしな・・・。

CC28

そうですね、その辺はまだ聞いていないんですかね。

 

CL29

3月で廃業になりますから、

事後処理が終わってからでいいよと言われているので、

4月初めくらいには働きだす感じですかね。

CC29

そうしましたら3月までに答えを出すということで、

ご自身の気持ちを整理して前に進めたらということですかね。

 

「意思決定支援と目標共有」

KA

時間的にはこの時点で17分、目標のコミットメントですが・・・、

CLの口から直接、再就職や気持ちの整理の問題に向かって、

一緒にやっていくという言葉を引出したいところですね。

人間自分が口に出した言葉に責任を持つものですし、

そうやって前に進めないといけないと気付き、自己変容を導きましょう。

キャリアコンサルタント倫理綱領第9条

そして、「自己決定権を尊重する」ことです。

主体的な意思決定をサポートするという方が分かりやすいですかね。

意思決定支援から目標設立はどのような流れで行うものなのか、

テキストのマジックワードを活用するタイミングなどを考えてほしいところです。

 

CL30

そうですね、今からすぐに何か新しいことを出来るというわけではないので、

まずは気持ちの整理をつけてからかなと思います。

CC30

やっぱり社長さんへの思いが強かった分、なかなか気持ちが

整理出来ないのはマツダさんだけじゃないと思いますからね。

時間をかけて少しずつやっていくことも大事なのかもしれませんけど、

3月までに廃業するというのが決まっているので、

その辺で少し目安に考えるというのは。

 

「意思決定支援」

KA

目標設立に向けてCLの「気持ちの整理をつける」を目標にする場合、

ちょっと分かりづらいかもしれませんが、感情に焦点を当てるだけでなく、

過去の経験や職務の棚卸をして自己理解や職業理解を促進して整理する方法や、

もう一度、一緒に再就職などのキャリアプランニングを整理して、

中長期的な視点でキャリアビジョンを検討する方法もあります。

家族や同僚に相談してサポートを得た話が出たということは、

コミュニケーションについての問題はなさそうですから、

紹介された再就職先という狭い視点だけでなく、

会社外の人脈や似たような境遇の友人からの情報収集や、

客観的なアドバイスをもらうことで

冷静に判断できる状態にする目標設定もありだと思いますね。

 

CL31

ちょっと整理しないとですね。

CC31

今まで話した内容をまとめさせて頂くと、大学を出て30年今の会社にいらしゃっていた。総務部長という役職について、会社の為、特に社長のために頑張ってこられたのだと思うのですけど、社長さんが突然亡くなられて、今の会社が廃業するということで、動揺と気持ちの整理がつかなかった。で、他の部下の方たちは再就職も決まって、マツダさん自身も取引先から管理職候補で決まって、来てくれないかというお話も頂いているけども。再就職への思いや気持ちの整理がなかなかつかなくて前に進めないということでご相談に来られたということで宜しいですか。

 

CL32

そうっすね、自分ではなんで前向きになれないのかなと思ってたんで。

CC32

その辺を整理するというのを先ほどからおっしゃってたんで、

そういうことを中心にこれから一緒にやって行けたらなと思うんですけど

その辺はどうでしょうか。

 

CL33

そうですね、まあなんだかんだで2ヶ月くらいは時間もありますんで、

今話を聴いて会社への想いとか社長への想いがあって

なかなか前に進めないってのは分かったんで、

もうちょっと具体的に整理しながらできればいいのかなって思いますね。

CC33

はい、では前に進めるように整理をしつつ、

再就職のことも一緒に考えて行きたいと思います。

 

CL34

はい、まずはそうですね。

CC34

他に何か気になることはありますか。

 

CL35

他には・・・再就職のこともなんですけど、

他にももしかしたら選択肢があるのかなってことですかね。

例えば他の会社とか他の可能性があるのかって、せっかくなんで。

年齢も年齢なんで難しいでしょうけど、

今まで自分のやりたいこととか考えたこともなく、

ずっと一つのところでやってきましたから、

もう少し幅広い視点で見れたらいいなというのは思いました。

CC35

そうですね、今までやってこられているので、

マツダさんの生かせる能力とか強みが今のお話し頂いている会社以外でも、

合って興味を持って、また次の。

 

CL36

そうですね、家は家族も多いですから、収入面とか長く働けるのかとか、

定年後どうなるのかなんてのも考えなくてはですね。

CC36

そうですね、定年でも60、65と考えられていますからね。

その辺も含めて考えていきましょうかね。

 

CL37

はい、再就職で入って失敗するのも嫌ですからね。

CC37

まずは再就職のことを・・・。

 

ピピピピピ・・・。

 

ここで時間切れとなりました。

 

ここから、口頭試問です。

 

口頭試問

ここから口頭試問のロールプレイです。 

 

試験官(以下SIKと表記)

キャリアコンサルタント(以下CCと表記)

確認ポイント(以下KA)

 

SIK1 

この相談者の相談したい問題点とは何でしたか。 

CC1 

この方の相談したい問題点ですが、マツダさんは大学を卒業して和菓子の製造会社に30年勤めていらっしゃいました。総務部長までやられたというのは社長と会社の雰囲気に惚れ込んで一生懸命やられた中、社長さんが亡くなったことで、会社が廃業することになったのでその気持ちの整理がまだついていないことと、取引先から管理職候補で来ないかと言われているんだけれども、それもどうしたらいいかと悩んでいるにが問題点だと思います。

 

「一貫性と非言語的スキル」 

KA

ここは主訴ですね、論述試験でいうと(1)に該当します。

私は冒頭でCLが言う主訴(初期設定)を要約して、

CLに必ず伝え返して下さいと教えます。

CLが何の相談に来たのか自己理解できるように要約して伝え返す意味と、

自分が覚えておいて最後の口頭試問できちんと言えるようにする意味があります。

※答え方はキャリコン義塾テキストⅠのp.2と16、Ⅱの第2版p.7を参照

少し長いですが、概ね要約出来て、CL視点での問題把握が出来ていますね。

 

SIK2

では、キャリアコンサルタントとして考える相談者の問題点は何ですか。 

CC2

はい、キャリアコンサルタントとして考える相談者の問題点は、

社長が亡くなられて廃業となったことが転機のきっかけだと思います。

社長が亡くなられたことと廃業したことがマツダさん自身が

まだ気持ちの整理が出来ていないため

次の再就職への一歩が踏み出せないことが問題点だと思います。

それはご自身の30年やってきたことの自己理解だったり、

認められてきたということがご自身を含め

職業理解も不足しているからだと思います。

また、再就職については取引先の情報だったり、

それ以外の再就職の情報もまだ収集出来ていないところも問題点だと思います。 

 

「CC視点の問題把握」

KA

ここは我々CCの見立て、問題把握力、論述試験(2)に該当します。

どうしてCLは相談に来たのか、何を一番不安に感じていて、

何を一番やりたいのか、いわゆる4S点検(リソース)

整理出来ない状態にあり、どうして行動を起こせないのかが問題です。

※答え方はキャリコン義塾テキストⅠのp.3と16、Ⅱのp.7を参照

 

それと、口頭試問では、自分を客観的に評価できるかどうかが試されます。 

今回の答え方は少し長くまとまっていない印象を与えてしまう点と、

まだ、CL視点が抜けきっていないところが伺えます。

例えば赤い文字の下線の箇所はマツダさん自身が再就職へ踏み出せない原因が、

気持ちの整理が出来ていないことであることに気付いていないのが問題点ですね。

CC視点で見ればこの問題に気付かせたと言えるわけです。

関連付ければこの点にとらわれていた為、再就職先やそれ以外の

情報収集についても出来ていなかったと言えそうです。

自己理解・職業理解についてはもう少し根拠を整理した見立てが必要ですから、

無理に言う必要はないかもしれませんね。

 

SIK3

今のロールプレイで良かったところ、

悪かったところを言ってください。 

CC3

はい、良かった点と悪かった点ですね。

まず、良かった点は廃業と社長が亡くなった気持ちを整理出来ていない中、

相談に来て少しずつご自身の気持ちを話して頂いた点が良かった点だと思います。

それはやはりマツダさんが今、思っている気持ちを丁寧に聞いて

感情に対して応答できたからだと思います。

また、社長さんの想いだったり、マツダさんの認められて

誰かの役に立ってることにやりがいを感じている気持ちを

聞けたことは良かった点だと思います。

悪かった点については、廃業と社長さんが亡くなられた気持ちを

整理出来ない気持ちが分かってしまった為に、

CLの気持ちに偏り過ぎてしまった為に、

どうにか解決したいという気持ちが先走ってしまって、

提案的な解決策を提示してしまったことは悪かった点だと思います。

もう少しマツダさんの気持ちを大切にした上で、

主体的に考えられるような質問の仕方を工夫できたらと思いましたので

その辺を今後気を付けて行きたいなと思います。

 

「自己評価」

KA 

システマティックアプローチをさかのぼって確認します。

方策のコミットメントが出来ていない→ 方策→

コミットメント→目標設立→問題評価という順に逆算して、

どこが出来ていなかったというのを構成的に振り返るといいでしょう。

例えば、具体的な方策まで詰められなかったということは、

目標合意や問題把握がコミットメントされていないことや、

開かれた質問を有効に使えず問題定義が出来なかったことに

真の原因があるのかもしれないのです。

※キャリコン義塾テキストⅠのp.17、Ⅱのp.7を参照

 

まとめるのが苦手な方は、もっとシンプルに言ってもいいかもしれませんね、

「主体的な意思決定を導くような問いかけが出来なかった」

「相談者のこの気持ちについてもう少し聞ければ良かった」

「ご家族とのコミュニケーションについても聞ければ良かった」とか。

こういった客観的な評価が明確化されることで、

試験官の評価も良くなると思います。    

今回であれば、「その辺」「え~と」という言語表現が多かったので

抽象的で迷っているような印象を与えかねませんから

言葉の癖にも注意すると、もっと相手に伝わりやすく説得力が増すと思いました。

 

SIK4

はい、では悪かったところについて今後はどんな勉強をしていきたいです

CC4

悪かった点について今後勉強したい点につきましては、

マツダさんの気持ちを一緒になって考えてしまったのが悪かった点だったので、

もう少し客観的に俯瞰的に見れるように経験を積んで行きたいと思います。

事例研究だったり、 ロープレの練習を積み重ねて行くことで

第3者の意見を聞き、自分のクセを改善して行きたいと思っています。

 

SIK5

では、次回の相談機会があればどんな支援を行いますか。

CC5

はい、次回どんな支援をしていくかということですね。

ん~・・・、ロープレの中では一応再就職について

前向きに考えて頂けるお約束が出来たので、

再就職先の情報収集とご自身の強みを明確にしていくという

お約束をしたんですけれども、それ以外で53歳ということで、

まだ働ける年数もあることから、

中長期的にどういう働き方をしていくのか、

あとは家族もいらっしゃるということですので、

そういうことも含めたキャリアプランだったり、

ライフプランを含めた計画が出来るように一緒に考えて行きたいと思います。

 

SIK6

相談者との関係構築はうまく出来たと思いますか。

CC6

はい、相談者との関係構築はほぼ出来たと思います。

やはり、社長さんと廃業への思いと、マツダさんが考える社長さんへの強い思いがとても聞けたことです。

それはやはり社長さんの為にも、会社の為にも、頑張ってきたという強い気持ちが効けたことで関係構築が出来たと感じています。

 

SIK7

では、最後の質問ですが、

今後どのようなキャリアコンサルタントになりたいと思いますか。

CC7

はい、今後キャリアコンサルタントとしてどんな風になりたいかということですね。

やはりあの、CLの気持や思い、感情を大切にしながら、

その方が主体的に考えて前向きに一歩踏み出せるような

支援が出来るキャリアコンサルティングを目指したいと思います。

 

SIK8

では、以上で口頭試問を終わります。

CC8

ありがありがとうございました。

 

おわりに

さて、

【第19回キャリコン2級検定】

仮想ロールプレイケース4&口頭試問まとめ

は如何でしたか。

 

実際のロールプレイを基に、

キャリアカウンセリングのスキルをご紹介しました。  

 

キャリアコンサルティング・カウンセリング方法は無限にあるので、

正しいか正しくないかではありませんが、

 

試験やコミュニケーションに必要なノウハウと

アドバイスを簡単にご説明しました。

 

たぶんキャリアコンサルティングを知らない方も、ああ~なるほど、

確かにそうかも!と感じた方もいるかもしれません。

 

マネージメントされている方々も一つでもスキルを覚えておくと、

部下の相談、人事面談や目標管理等で役立つと思います。

本当にやりたいことが出来れば仕事の成果やモチベーションは上がり、

中長期的なキャリアパスが描けますから、段階的な目標も設定しやすいです。

 

相手の真意を引き出して心をスッキリさせることが出来れば、

非指示的に導くという高度なコミュニケーションが可能となります。

 

「そんなの難しいよ!」

「うちの会社ではそんなの無理!」

これも思い込みや環境要因の一つかもしれません、気を付けましょう。

 

こういうスキルを身に着けたい人事・採用担当者管理者の方からの

応募や研修依頼もお待ちしています。

 

お金を取る企業研修にするにはもう少し工夫が必要ですけどね。

 

単純に聞き上手になりたい方には役立つので、

良いかもしれません(`・ω・´)ゞ

 

それにしても文章に起こして逐語録としてまとめると面白いですね。

どこがどのように出来ていないのか、

物凄く分かりやすくて私自身も勉強になりました。

 

こういう知識やスキルを世の中に役立てるチャンスが欲しいものです。

よーし!まずはそういった未来に向けて頑張ります!!

 

こういったきめ細かい指導を受けてみたい方は下記の応募フォームへ!

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もちろん、自分が本当はどうしたいのか分からない方、客観的に知りたい方、

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本日もお忙しいところ、

お読みいただきありがとうございましたm(_ _)m

 

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試験対策講座関連の過去記事はこちらです、

合わせてお読み頂けると大変嬉しいです。  

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