はじめに
名もなきキャリアコンサルタントこと敬天愛人です。
現在開講中の
第19回キャリアコンサルティング技能検定2級試験対策講座。
この講座の中で、
前回、第18回実技試験ケース4のロールプレイを実施し、
逐語録からカウンセリング技法などの確認を行っているのですが、
さて、キャリコン2級を受験される方は、
こういったロールプレイを徹底的に練習されると思います。
でも、皆さんは自分のロールプレイを録音して聞いたり、
試験対策講座の先生に指導を受けたりはしていても、
文章に起こして添削されたことはあまりないのではありませんか?
案外、同じことを何回も言っていたり、
マイクロ技法などの細かいカウンセリングスキルのチェックや
システマティックアプローチのカウンセリングプロセスを
きちんと踏んでいるかなどは、その場の相談支援や指導の会話だけで
確認しきれていないのではないかと思っています。
そんな皆様に、今回も仮想ではなく現実、
キャリア理論と実際のリアルなロールプレイをご覧頂いて、
試験やコミュニケーションに役立ててもらえたら幸いです。
添削をしながらロールプレイが見れる指導編となっております。
※ロープレ内容につきましては、試験と全く同条件の表示はできませんので、
基本情報等は変更しておりますが、キャリアコンサルティングスキルの
確認という視点であれば、それほど違和感はないかと思います。
CL役は中西さん、
CC役は・・・鈴木さん(仮名)
指導・添削は私でお送りします。
試験を受けない方でも相談を受けた時や
コミュニケーションなどに役立つスキルですから参考にして下さい。
では、行ってみましょ~う!!
相談事例
◆ケース5 中西さん 37歳
相談者(以下CLと表記)
キャリアコンサルタント鈴木さん(以下CCと表記)
確認ポイント(以下KAと表記)
CL1
こんにちは。
CC1
本日担当させて頂くキャリアコンサルタントの鈴木と申します。
CL2
中西と申します、よろしくお願いします。
CC2
本日ご相談のお時間は20分となっております。
短いんですけれども一生懸命聞かせて頂いて、
考えていきたいと思います。
また、我々キャリアコンサルタントには守秘義務がありますので
外へ漏れることはございませんので安心してお話しください。
それでは、ご相談始めて行きたいと思います。
今日はどうされましたか。
「基本的態度」
KA
時計の向きや席の向きの変更についての了承を
CLに得ることを忘れずに実施しましょう。
技能士会に入会していると分かりますが、
相談者役は有資格者です、細かいところまで見られてますよ。
そういった積み重ねが面接会場の雰囲気や関係構築を良好にします。
CL3
高校卒業後に今の製造会社に勤めて10年以上経ちます、
ここのところ、会社の業績が悪化してまして、
退職する人も出てきているんですね。
ただ、自分としてはお世話になった会社なので、
何とか最後まで自分は頑張ろうかなと思っていたんです。
ただ、最近友人の会社を手伝ってほしいと誘われまして、
転職の方も考えて、どうしたらいいのか分からなくなり、
迷っていて相談に来ました。
CC3
そうなんですね。
今日中西さんは、高校から卒業して10年以上製造会社で勤め上げていて、
業績が悪化して退職者も増えてきているということもあって、
友人からも会社を手伝ってほしいとお誘いがあって
どうしたらいいのかという主旨のご相談で宜しいですか。
ラポール形成「褒め方と共感的理解」
KA
高校卒業後、10年以上仕事を頑張ってきたことを労ったり、
褒めるような言葉を最初に入れると、ラポール形成しやすく
相手も承認される事によって気分よく話すことが出来るはずです。
「10年以上、長く頑張ってこられたのですね」とか、
「業績が悪化していて退職者が出ている中、頑張ってきたわけですね」
という風にCLの背景要因に寄り添いながら共感的理解を交えて、
対等な雰囲気で褒めるわけです。
共感的理解とは
ロジャーズ氏の来談者中心療法にある概念ですが、
大切なことなので簡単に説明します。
我々CCはCLと違う人間である(貴方と私の独自性)ことを認識し、
相手の思いをあるがままに理解して受けとめます。
相手の立場を想像し、異なる状況や価値観・境遇における
相手の気持ちを理解出来るように取り組むこと。
上記を「共に感じる」ことであるとロジャーズ氏は言っています。
15冊以上あるロジャーズ氏の書籍や論文を読むのはちょっと・・・
という方はこのような感じで理解されるといいかもしれません。
また、価値判断することなく中立できであることを
無条件の肯定的関心(配慮)である、
とロジャーズ氏は位置づけていますね。
グッドポイント「主訴の要約」
KA
最初の主訴の要約はポイントを押さえて正確に出来ていますね。
CL4
はい、そうです。
CC4
そうしましたら、もう少し今の中西さんのお気持ちなど具体的にお話頂けますか。
チャンクダウン
「具体的に」で思考をほぐす良い質問ですね。
CLは悩み抜いてリソースを整理出来ていませんから、
初めは悩みという大きな塊をほぐすような質問、
開かれた質問がCLにとって大切ですし、
我々CCが問題把握するためにも有効ですね。
CL5
はい、ここ数年業績が悪化したというのはですね、
やはり競合の会社が多くて、売上なんかも伸び悩んでいるというのがあります。
3か月くらい前ですかね、販売促進のためのインターネットサービスも
立ち上げたんですが、任されましてやらせて頂いたんですけど、
同じような業者さんがたくさんいて、なかなか売り上げに繋がらない、
やったからといって業績が上がらない、
それによって貢献が出来なかったので、
そういう意味では業績に貢献できなかったというのは思います。
CC5
まあ業績が悪化しているように中西さんとしては、
業績がなかなか上げられなかったという思いがあるようなんですけれども、
もう少しその思いを教えて頂けませんか。
グッドポイント「繰り返し」
KA
ここも感情に焦点を当てた良い応答が出来ていますで。
短い要約をして、オウム返しではなく、伝え返すことが出来ています。
CL6
そうですね、こちらの会社に10年以上お世話になっていますので、
長い間良くしてもらって、上司なんかも・・・部長なんですけど、
凄く良くしてくれて。
今回のインターネットサービス事業を
任せてくれたのは部長なんですよね。
それも有難かったですし、同僚なんかも仲良く仕事やってきた仲間なんで、
それだけに業績が悪化したから退職した人がいると聞くと、
もっと頑張ればいいのにという思いは自分としてありますよね。
CC6
10年以上頑張ってやってこられたというのは、
とても凄いことだと思うので、それに対して中西さんは
何かできるのでは何が出来るのかなという思いあって、
今回インターネットサービスを任されたっていうことで、
頑張ってやってこられた中で辞める方もいるとおっしゃってましたけど、
そういう方を見て中西さんはどう思われましたか。
CL7
先ほども言った通り業績が悪化して退職する方を見ていると、
自分としては高校卒業してすぐに入ったんですけど、
経緯としては就職難の時代でなかなか仕事も決まらなくて、
最初は進学を希望してたんですけど、当時、母の体調が悪くて、
進学を諦めなければいけない状況になりまして。
でも就職もなかなか決まらなくてどうしようかなと思っている時に
母の知人の紹介で今の会社に入れたんですよね。
だからそういう恩も自分としては感じていて。
仕事の方は最初の数年は覚えるのに苦労しましたけど、
一生懸命、会社のために仕事をやってきて・・・
みんなもそうだと思うんですよ。
なのに業績が悪化したからといって辞めていくってのは
自分としてはどうかな~て思うところがあります。
今回、友人の仕事の誘いについて悩んでいる面もあるので、
全然分からないというわけではないんですけどね。
ただ、お世話に、良くしてもらった会社を裏切るというか、
そういう気持ちにもならないですし、そういう思いは強いですかね。
CC7
そうすると中西さんは今の会社でこれからも長く働いていきたいと、
今までは考えてらっしゃったんですね。
「感情の反映」
KA
恩を感じている点、会社を裏切るような気持ちになれない強い思いは
感情が強く出ているところなので、端的でいいので丁寧に、
相手に伝わるような感情の反映をしてあげると、
CCの表情や言語を聞いたCLの自己理解が深まりますし、
共感的理解やかかわり技法(関係構築力)の評価が高くなると思います。
CL8
はい、今回友人の話をもらうまでは、
何とか最後までやりたいなって思ってました。
CC8
そうですよね。
10年以上もやってこられて努力してここまで来られたのでしょうし、
ましてお母様のお知り合いでなかなか決まらなかった就職の中、
拾ってもらえたという感謝の気持ちや恩をもらったという
お気持ちがあったからこそ、中西さんの頑張りがあったからこそ、
ここまでやってこられたんだなとお感じするんですけど。
グッドポイント「はげまし」
KA
ここでは基本的かかわり技法の「はげまし」をしながら
親身なかかわりが出来ていると思います。
CL9
はい、そう思いますね。
CC9
逆にお友達から仕事を手伝ってくれないかと
言われた時のお気持ちはどうでしたか。
2つの肯定的な葛藤
KA
今の仕事を肯定的に捉えているCLの発言に対しての応答であり、
「友人からの誘い」もCLは肯定的な捉え方をしている推測ができますので、
「逆に」ではなく、「一方で」と言った方がCLは葛藤を比較しやすいですし、
話の流れも切れずに、関連がある様に聞こえると思います。
気持ちに関する質問自体は深堀する質問でOKです。
CL10
友人も長い付き合いでして、もう立ち上げて4年くらい経つ会社なんですけれども、
実はその友人の会社は就労支援事業でして、
ああいう職種はPCやネット媒体などが弱いそうなんですよ。
そういうシステム関連の管理者みたいなのを
やってほしいということなんですよ。
彼が最初に立ち上げた時に手伝ったりもしたんですよね。
知っている友人ですし、やっている仕事も私の出来る仕事でもあるし、
中核をになってほしいということなんで、ありがたい話だなと。
私の技術を評価してくれているようにも思うし。
もちろん友人なんで出来れば力になってあげたいと思います。
CC10
そうすると、今までお話を伺っていると、
会社の方も10年以上働いてお世話になっているし
業績が悪くなったからといって、自分がここで辞めるよりも
頑張って行きたいというお気持ちがあった中で、
お友達から中西さんがその立ち上げを手伝ってきたところを含めて、
来ないかと言われたことが丁度重なったようなんですけれども、
ご本人としては会社を続けていくのか、
もしくはお友達の会社へ行くのかというので
悩まれているということで宜しいですか。
10分経過「まとまった要約」
KA
ここで約半分が経過しています。
まとまった要約をこのタイミングで入れてきたのは素晴らしいと思います。
そろそろ、CLもCCも少し整理しておきたいですよね。
ただ、この要約でシステマティックアプローチでいうところの
問題の評価、CCの「見立て」に繋げていく必要があります。
CL11
はい、今までお世話になった会社で思いと、
友人の会社の方は期待というか・・・、
どうしても自分は情に厚い部分がありまして、
そういう意味で助けてあげたいという気持ちに
近いところがあるのかなと思いますね。
そこで悩んでしまっていると思うところはあります。
CC11
そうですね、両方お世話になっている方たちだから
中西さんがなんとかして差し上げたいというお気持ちを
お見受けするんですが。
「見立て」
KA
ここまで見て頂くと感じると思いますが、
このCLは真面目で情に厚いという内面(性格・価値観)があります。
だからこそ・・・、情に厚いからこそ、決めれない、
選択できずに悩んでいるという「見立て」が出来ます。
個人の背景が見えてきて関係構築10分を過ぎたこの辺りで、
会社に残るメリットデメリット、
友人の会社に転職するメリットデメリットを整理して比較させれば、
話の流れ的にもスムーズで、より具体的な目標評価(問題把握)に
繋がるステップを踏めたかもしれませんね。
最終的にはここで「見立て」と「問題把握」に迫れなかったので
目標設立が出来なくなってしまいます。
CL12
うーん、業績が悪化しているというのは収入的な面とか、
もう40歳になりますんで、今後も安定的な収入が得られるのか
心配な面もありますからね。
そういうところも不安は不安です。
高卒で入っているので、大卒との収入差も・・・
もしかしたら高卒の自分が切られるんじゃないかって、
そういう心配もあります。
CC12
そうですよね、確かに高校卒業と大卒では給料の面でも違うでしょうし、
就職活動をした場合に次の就職があるのかどうかという
将来的なことも含めて不安になられてますか。
CL13
そうなんですよ。まだまだ30年くらい働かなくてはいけないし、
収入が減っていくのは困りますし、大卒との収入差も
業績が悪化する前はそんなに気にならなかったんですけど、
悪化してくると先行きどうなるのか漠然と思ったりしますよね。
CC13
そうですよね、自分のこととなるとお給料の面とか
気になることだとは思うんですけど。
お給料以外に何か気になることとってありますか。
思考の拡大を図る質問
KA
「お給料以外に何か気になることありますか」良い質問ですね!
問題把握が出来てきたら、CLに他に何かないか考えさせることは、
残り時間を考えても目標設定する際に大切です。
面接の残り数分で「実は・・・」と言われたら方策が間に合いませんから、
時間があるうちに思考の拡大を図る質問で確認しましょう。
一方で、
「先行きどうなるか漠然としている→将来のことを考えられていない→明確なキャリアプランやキャリアデザインが乏しい」可能性がありますよ。
ここをCLの問題として「見立て」て、目標設定しても面白いですね。
CL14
そうですね・・・、仕事に関してはずっと同じことをやってきましたし、
インターネットサービスを任せてもらったりとか、
やりがいを持ってやらせてもらってますんで、ただ、
高卒ってことで役職なんかも付いてないんですよね。
やっぱり何が不安かというと友人の会社に誘われた時に思ったんですけど、
そういった経験があまり無いんですよね。
以前、課長が休職した時に変わりにまとめ役みたいなことを
やったことがあったんですけど、そのまとめ役もみんなのサポートが
あったから出来たと思うんです。
そういう意味では経験も無いし、今後も出来ない、
任せてもらえないのかなって、高卒と大卒の差なのかもしれませんし・・・。
そういうマネジメントの不安はありますね。
CC14
実際にそういう上司が休まれた期間はマネジメントとしてやってこられていて。
CL15
まあ出来たのかわからないですけど。 年上の先輩も協力してくれたので。
CC15
その辺、自分としてはどんな風に考えていますか。
というのはやっぱりマネジメントは自分一人で出来るものではないのかなと思うんですね。周りの人たちの協力があってこそ、中西さんの人柄があってこそ協力してくれたと思うんですね。
中西さんは人徳の高い方だとお見受けしたんですけれども、。
CL16
自分がやっていた時はマネジメントの協力をしてくれて
特別な問題もなくスムーズに終われたので・・・そっか、
協力体制というか人柄、コミュニケーションというか
長くやってきた仲間だから音頭がとれたのかなって思いますね。
そういうことは出来るのかもしれません。
CC16
そうかもしれませんね。
あとは今までやってこられた10年以上で
恩があるからと言われていましたが・・・
具体的展開力
問題把握から目標設定に移行するタイミングが分かりづらいのと、
目標設立のコミットメントが出来ていないので
方策へステップしきれなかった印象です。
しっかりとした意思確認が出来てこそ、
問題が明確化され目標を共有していることになります。
システマティックアプローチでいう構成的なカウンセリングステップ、
今、「関係構築、問題把握、目標共有、方策実行、コミットメント」を
してますよ~というメリハリを、試験官にアピールしたいところです。
これが面談全体をコントロールしていることであり、
具体的な展開が出来る力を最後に示したことになるはずです。
ピピピピピ・・・。
ここから、口頭試問です。
口頭試問
ここから口頭試問のロールプレイです。
試験官(以下SIKと表記)
キャリアコンサルタント(以下CCと表記)
確認ポイント(以下KA)
SIK1
この相談者の相談したい問題点とは何でしたか。
CC1
はい、相談者さんが相談したかった問題点は、
会社の業績が下がっている状況の時にお友達から
立ち上げた会社に来ないかと声を掛けられていて、
残りたい気持ちもあるし、そちらに行きたい気持ちがあって
どうしたらいいのか悩んで相談に来られました。
「文章の一貫性と非言語的スキル」
KA
ここは主訴ですね、論述試験でいうと(1)に該当します。
私は冒頭でCLが言う主訴(初期設定)を要約して、
CLに必ず伝え返して下さいと教えます。
CLが何の相談に来たのか自己理解できるように要約して伝え返す意味と、
自分が覚えておいて最後の口頭試問できちんと言えるようにする意味があります。
※答え方はキャリコン義塾テキストⅠのp.2と16、Ⅱのp.6を参照
正確にそのまま伝え返しており、
CL視点での問題把握がしっかり出来ていますね。
一方で、細かいことを言うと、最後の語尾が
「~どうしたらいいのか悩んでいることが問題点です」と言った方が、
始めと終わりの文章の一貫性があって良いと思います。
どうして相談に来たのかと聞かれているわけではないので。
それと、「お友達」という表現より
「友人」という表現の方が言葉遣いが適切に感じます。
SIK2
では、キャリアコンサルタントとして考える
相談者の問題点は何ですか。
CC2
キャリアコンサルタントとして考える問題は・・・、
お友達から声を掛けて頂いたきっかけで
中西さんが今後どうしたらいいのか考える状況になりました。
そこで・・・、会社にも友達にも恩とか義理を感じていて、
どうにかしたいという思いが強いので、
自分が何ができるかという自己理解が不足している為、
今後どうしたらいいか考える方策が見つけられていないと思います。
「CC視点の問題把握」
KA
ここは我々CCの見立て、問題把握力、論述試験(2)に該当します。
どうしてCLは相談に来たのか、何を一番不安に感じていて、
何を一番やりたいのか、いわゆる4S点検(リソース)が
整理出来ない状態にあり、行動を起こせないことが問題です。
※答え方はキャリコン義塾テキストⅠのp.3と16、Ⅱのp.6を参照
回答例
キャリアコンサルタントとして考える問題点ですね。
CLは会社の業績悪化と友人からの転職の誘いがトランジションになり、
恩義を感じていて裏切れない情の熱さという阻害要因と、
転職後のマネジメントへの不安という思い込みにもとらわれていて、
会社に残るか転職するか、決めかねており、
具体的なアクションプランが起こせないことが問題です。
一方で、自己のリソースや具体的なキャリアプランが
整理出来ていないため冷静な判断も難しく、
転職先の業界知識や情報収集などもできていないことも問題です。
SIK3
では、相談者とのリレーション、関係構築は出来たと思いますか。
CC3
はい、CLとの関係構築はほぼ出来たと思います。
さきほど、中西さんの上司がお休みになった時に
中西さんが代理としてマネジメントをやる機会があった時に
周りの協力があったからマネジメントを出来たと
ご本人は思っていたようですが、
中西さんの人徳があったか周りの協力があったのではないかと
お話をした時に「そうなのかな」と気付きを与えられた場面があったからです。
「自己評価」
KA
ここでは自分の関係構築力についての評価を客観的に分析します。
もちろん、出来たと言ってください、出来なくとも!(笑)
そして、自分との関係構築が出来ていく過程で、
CLがどのように変わったのか・・・変容させることができたかですね。
それを具体的な言葉を引用して答えます・・・何を言わせたかですね。
これを客観的に評価して、
「俯瞰的に観れてますよ!試験官」とアピールします。
※キャリコン義塾テキストⅠのp.12と17、テキストⅡのp.12を参照
SIK4
今のロールプレイで良かったところ、
悪かったところを言ってください。
CC4
このロールプレイで良かった点、悪かった点は・・・、
今の会社に中西さんが頑張ってやってきた気持ちを聞けたことです。
例えば高校を卒業して10年以上やって来れたのは就職活動に苦労して
母親の知り合いから声を掛けて頂いたということで、
恩義を感じているのでとても頑張っている思いが聞けたことです。
悪かった点は、お友達から会社に来ないかと言われている点があったのですが、
そのお返事をいつまでにするのかと聞けなかったので、
その時間軸で今後どうしていくかという具体的なお話が詰められなかったので、
次回、もし、いらして下さるときには、友達にいつまでに
返事をするのかということを聞いてみたいと思います。
「重要度の高いものから答える」
KA
良かった点はいいのですが、悪かった点の答え方が少し気になります。
確かに方策として、いつまでにという時間軸を聞くのはアリなのですが、
もっと重要なことは無いでしょうか。
具体的な展開にもって行けなかった根本的な問題を、
システマティックアプローチをさかのぼって確認します。
方策のコミットメントが出来ていない→ 方策→
コミットメント→目標設立→問題評価という順に逆算して、
どこが出来ていなかったというのを構成的に振り返るといいでしょう。
具体的な方策まで詰められなかったということは、
目標合意や問題把握がコミットメントされていないことが
原因かもしれないのです。
例えば、問題把握に繋げるためのプロセスで、
「会社に残るメリットデメリットや転職のリスクなどについて
もっと考えてもらっても良かったと思います」とか。
ここら辺が目標合意できるかできないか、時間的にも分岐点でした。
「今後はそういった問いかけや主体的に考える質問を工夫したいと思います」
という改善に向けての発言も入れられるともっといいですね。
※キャリコン義塾テキストⅠのp.17、Ⅱのp.7を参照
SIK5
では、この後ですね、次回の相談機会があれば
他にはどのような支援というか方策を行ってみたいですか。
CC5
はい、先ほどもお話ししましたが、
友達への返事がいつまでにするのかという期限を聞きたいと思います。
それ以外では、中西さんがこれまでやってきた仕事の実務経験だったり
経歴を詳細に聞けていないので、そこを深く聞くことで
新たに自己理解を深めることが出来るのではないかと思います。
まずそこを行った上で中西さんが考えている
将来的なことなどに沿って支援して行きたいと思います。
「試験官の質問の意図を汲む」
KA
他にはどのような支援や方策をと聞かれていますので、
期限の件は省いても良いと思います。
仕事の実務経験や経歴を聞くことで自己理解を深めることが、
会社に残るか転職するかの選択をするにあたって、
重要な方策であるかどうかということを考えて頂きたいところです。
その方策は実現可能か、アクションプランを起こしやすいか、
CLは受け入れやすいのかなど、
主体的な意思決定を導くことを考慮した答えがいいと思います。
たくさん思いつくなら、優先順位の高い方からドンドン言ってください。
※キャリコン義塾テキストⅠのp.17、Ⅱのp.7を参照
SIK6
はい、今日はお疲れ様でした。
CC6
ありがとうございました。
おわりに
さて、
「第18回2級試験ロープレ口頭試問ケース5」は如何でしたか。
実際のロールプレイを基に、
キャリアカウンセリングのスキルをご紹介しました。
基本的態度、関係構築力は傾聴を優先して良い線まで行きましたが、
問題把握力と具体的展開力、口頭試問の応答技法はこれからですね。
この方には有難いことに継続的な指導のご依頼を頂いて、
すでに予約も複数回頂いておりますので、
自信を持って試験に臨める
合格レベルまで成長して頂けるように
お役に立てるように一生懸命、一緒に頑張らせて頂こうと思います。
いよいよ後半戦なので、ロールプレイの中でも気付いた点を
その場で指摘して学んで頂こうと考えています。
問題の本質に迫るスキル
- 「他には?」と思考の拡大を図る質問
- 「重要なのは?」と思考の収斂(引き締め)を図る質問
- 「具体的には?」と塊をほぐす(チャンクダウン)質問
今回の傾向で言えば2の思考の収斂を図る質問を要所で出来ると
問題が絞れて評価しやすかったのではと思います。
見えないものを見るスキル
それと、大切なことが出来ていませんでしたね・・・、
このCLがどうしたいのかという意思決定支援が非常に曖昧です。
「会社の業績が悪化していなかったとしたら、どう思いますか?」
「友人の会社に誘われていなかったら、どのように考えますか?」
それぞれの環境要因を取り除いて、どちらが強い気持ちで、
何が理想なのかを比較させると、見えない問題が更に見えると思います。
CLが本当は何をしたいのか、
どうしたいのか・・・それを把握することが大切です。
言語的に聴いて確認して自分の口で主体的に言わせることです。
本人が悩んでいる「阻害要因」、「環境要因」という
見ているものを見えないように取り除くことで、
本人にも見えないものが我々に見えてきます。
多くの人はこのような目の前の環境要因に捕らわれ
本当にやりたいことの意思決定が出来ていないのです。
今回のロールプレイではこれが出来ていませんでしたね。
これが、CLがどうしたいのかが見えない曖昧さだと私は感じます。
これではCLは元気になってくれませんし、モヤモヤしたままです。
なぜ自分が悩んでいるのかを客観的に体験することで、
元々悩んでいていた自己概念と少しずつ一致して、
自己一致の領域が広がるとモヤモヤがスッキリするわけです。
キャリアコンサルティング・カウンセリング方法は無限にあるので、
正しいか正しくないかではありませんが、
少なくとも私はこういった点に注意しながら、
カウンセリングステップを進めて合格しました。
今回は私が相談者役でなかなか良いロールプレイでしたが、
文章に起こして逐語録としてまとめるとやはり気付きが多いですね。
どこがどのように出来ていないのか、
物凄く分かりやすくて私自身も勉強になります。
次回予告
次回は、私が相談者役をやりながら
ロールプレイをコントロールして、
問題把握と具体的展開力、方策の実行までを体感してもらった
逐語録を整理して、掲載していきたいと思いますので、
問題把握や具体的展開力に課題を感じている方は特にご期待ください。
こういったきめ細かい指導を受けてみたい方は下記の応募フォームへ!
お問い合わせお待ちしております!
もちろん、自分が本当はどうしたいのか分からない方、客観的に知りたい方、
キャリアコンサルティングの相談もこちらまで!
お忙しいところ、お読みいただきありがとうございました。
試験対策講座関連の過去記事はこちらです、
合わせてお読み頂けると大変嬉しいです。