具体的展開力の注意点と口頭試問の解答例【キャリコン2級面接対策】
名もなきキャリアコンサルタントこと敬天愛人です。
今回は前回の記事、
関係構築から問題把握へのカウンセリングステップ/キャリコン2級面接対策
の後編です。ご覧ください。
CL14
そうですね・・・、仕事に関してはずっと同じことをやってきましたし、
インターネットサービスを任せてもらったりとか、
やりがいを持ってやらせてもらってますんで、ただ、
高卒ってことで役職なんかも付いてないんですよね。
やっぱり何が不安かというと友人の会社に誘われた時に思ったんですけど、
そういった経験があまり無いんですよね。
以前、課長が休職した時に変わりにまとめ役みたいなことを
やったことがあったんですけど、そのまとめ役もみんなのサポートが
あったから出来たと思うんです。
そういう意味では経験も無いし、今後も出来ない、
任せてもらえないのかなって、高卒と大卒の差なのかもしれませんし・・・。
そういうマネジメントの不安はありますね。
CC14
実際にそういう上司が休まれた期間はマネジメントとしてやってこられていて。
CL15
まあ出来たのかわからないですけど。 年上の先輩も協力してくれたので。
CC15
その辺、自分としてはどんな風に考えていますか。
というのはやっぱりマネジメントは自分一人で出来るものではないのかなと思うんですね。周りの人たちの協力があってこそ、中西さんの人柄があってこそ協力してくれたと思うんですね。
中西さんは人徳の高い方だとお見受けしたんですけれども、。
CL16
自分がやっていた時はマネジメントの協力をしてくれて
特別な問題もなくスムーズに終われたので・・・そっか、
協力体制というか人柄、コミュニケーションというか
長くやってきた仲間だから音頭がとれたのかなって思いますね。
そういうことは出来るのかもしれません。
CC16
そうかもしれませんね。
あとは今までやってこられた10年以上で
恩があるからと言われていましたが・・・
具体的展開力
問題把握から目標設定に移行するタイミングが分かりづらいのと、
目標設立のコミットメントが出来ていないので
方策へステップしきれなかった印象です。
しっかりとした意思確認が出来てこそ、
問題が明確化され目標を共有していることになります。
システマティックアプローチでいう構成的なカウンセリングステップ、
今、「関係構築、問題把握、目標共有、方策実行、コミットメント」を
してますよ~というメリハリを、試験官にアピールしたいところです。
これが面談全体をコントロールしていることであり、
具体的な展開が出来る力を最後に示したことになるはずです。
ピピピピピ・・・。
ここから、口頭試問です。
口頭試問
ここから口頭試問のロールプレイです。
試験官(以下SIKと表記)
キャリアコンサルタント(以下CCと表記)
確認ポイント(以下KA)
SIK1
この相談者の相談したい問題点とは何でしたか。
CC1
はい、相談者さんが相談したかった問題点は、
会社の業績が下がっている状況の時にお友達から
立ち上げた会社に来ないかと声を掛けられていて、
残りたい気持ちもあるし、そちらに行きたい気持ちがあって
どうしたらいいのか悩んで相談に来られました。
「文章の一貫性と非言語的スキル」
KA
ここは主訴ですね、論述試験でいうと(1)に該当します。
私は冒頭でCLが言う主訴(初期設定)を要約して、
CLに必ず伝え返して下さいと教えます。
CLが何の相談に来たのか自己理解できるように要約して伝え返す意味と、
自分が覚えておいて最後の口頭試問できちんと言えるようにする意味があります。
※答え方はキャリコン義塾テキストⅠのp.2と16、Ⅱのp.6を参照
正確にそのまま伝え返しており、
CL視点での問題把握がしっかり出来ていますね。
一方で、細かいことを言うと、最後の語尾が
「~どうしたらいいのか悩んでいることが問題点です」と言った方が、
始めと終わりの文章の一貫性があって良いと思います。
どうして相談に来たのかと聞かれているわけではないので。
それと、「お友達」という表現より
「友人」という表現の方が言葉遣いが適切に感じます。
SIK2
では、キャリアコンサルタントとして考える
相談者の問題点は何ですか。
CC2
キャリアコンサルタントとして考える問題は・・・、
お友達から声を掛けて頂いたきっかけで
中西さんが今後どうしたらいいのか考える状況になりました。
そこで・・・、会社にも友達にも恩とか義理を感じていて、
どうにかしたいという思いが強いので、
自分が何ができるかという自己理解が不足している為、
今後どうしたらいいか考える方策が見つけられていないと思います。
「CC視点の問題把握」
KA
ここは我々CCの見立て、問題把握力、論述試験(2)に該当します。
どうしてCLは相談に来たのか、何を一番不安に感じていて、
何を一番やりたいのか、いわゆる4S点検(リソース)が
整理出来ない状態にあり、行動を起こせないことが問題です。
※答え方はキャリコン義塾テキストⅠのp.3と16、Ⅱのp.6を参照
回答例
キャリアコンサルタントとして考える問題点ですね。
CLは会社の業績悪化と友人からの転職の誘いがトランジションになり、
恩義を感じていて裏切れない情の熱さという阻害要因と、
転職後のマネジメントへの不安という思い込みにもとらわれていて、
会社に残るか転職するか、決めかねており、
具体的なアクションプランが起こせないことが問題です。
一方で、自己のリソースや具体的なキャリアプランが
整理出来ていないため冷静な判断も難しく、
転職先の業界知識や情報収集などもできていないことも問題です。
SIK3
では、相談者とのリレーション、関係構築は出来たと思いますか。
CC3
はい、CLとの関係構築はほぼ出来たと思います。
さきほど、中西さんの上司がお休みになった時に
中西さんが代理としてマネジメントをやる機会があった時に
周りの協力があったからマネジメントを出来たと
ご本人は思っていたようですが、
中西さんの人徳があったか周りの協力があったのではないかと
お話をした時に「そうなのかな」と気付きを与えられた場面があったからです。
「自己評価」
KA
ここでは自分の関係構築力についての評価を客観的に分析します。
もちろん、出来たと言ってください、出来なくとも!(笑)
そして、自分との関係構築が出来ていく過程で、
CLがどのように変わったのか・・・変容させることができたかですね。
それを具体的な言葉を引用して答えます・・・何を言わせたかですね。
これを客観的に評価して、
「俯瞰的に観れてますよ!試験官」とアピールします。
※キャリコン義塾テキストⅠのp.12と17、テキストⅡのp.12を参照
SIK4
今のロールプレイで良かったところ、
悪かったところを言ってください。
CC4
このロールプレイで良かった点、悪かった点は・・・、
今の会社に中西さんが頑張ってやってきた気持ちを聞けたことです。
例えば高校を卒業して10年以上やって来れたのは就職活動に苦労して
母親の知り合いから声を掛けて頂いたということで、
恩義を感じているのでとても頑張っている思いが聞けたことです。
悪かった点は、お友達から会社に来ないかと言われている点があったのですが、
そのお返事をいつまでにするのかと聞けなかったので、
その時間軸で今後どうしていくかという具体的なお話が詰められなかったので、
次回、もし、いらして下さるときには、友達にいつまでに
返事をするのかということを聞いてみたいと思います。
「重要度の高いものから答える」
KA
良かった点はいいのですが、悪かった点の答え方が少し気になります。
確かに方策として、いつまでにという時間軸を聞くのはアリなのですが、
もっと重要なことは無いでしょうか。
具体的な展開にもって行けなかった根本的な問題を、
システマティックアプローチをさかのぼって確認します。
方策のコミットメントが出来ていない→ 方策→
コミットメント→目標設立→問題評価という順に逆算して、
どこが出来ていなかったというのを構成的に振り返るといいでしょう。
具体的な方策まで詰められなかったということは、
目標合意や問題把握がコミットメントされていないことが
原因かもしれないのです。
例えば、問題把握に繋げるためのプロセスで、
「会社に残るメリットデメリットや転職のリスクなどについて
もっと考えてもらっても良かったと思います」とか。
ここら辺が目標合意できるかできないか、時間的にも分岐点でした。
「今後はそういった問いかけや主体的に考える質問を工夫したいと思います」
という改善に向けての発言も入れられるともっといいですね。
※キャリコン義塾テキストⅠのp.17、Ⅱのp.7を参照
SIK5
では、この後ですね、次回の相談機会があれば
他にはどのような支援というか方策を行ってみたいですか。
CC5
はい、先ほどもお話ししましたが、
友達への返事がいつまでにするのかという期限を聞きたいと思います。
それ以外では、中西さんがこれまでやってきた仕事の実務経験だったり
経歴を詳細に聞けていないので、そこを深く聞くことで
新たに自己理解を深めることが出来るのではないかと思います。
まずそこを行った上で中西さんが考えている
将来的なことなどに沿って支援して行きたいと思います。
「試験官の質問の意図を汲む」
KA
他にはどのような支援や方策をと聞かれていますので、
期限の件は省いても良いと思います。
仕事の実務経験や経歴を聞くことで自己理解を深めることが、
会社に残るか転職するかの選択をするにあたって、
重要な方策であるかどうかということを考えて頂きたいところです。
その方策は実現可能か、アクションプランを起こしやすいか、
CLは受け入れやすいのかなど、
主体的な意思決定を導くことを考慮した答えがいいと思います。
たくさん思いつくなら、優先順位の高い方からドンドン言ってください。
※キャリコン義塾テキストⅠのp.17、Ⅱのp.7を参照
SIK6
はい、今日はお疲れ様でした。
CC6
ありがとうございました。
おわりに
さて、
「具体的展開力の注意点と口頭試問の解答例【キャリコン2級面接対策】」
は如何でしたか。
実際のロールプレイを基に、
キャリアカウンセリングのスキルをご紹介しました。
基本的態度、関係構築力は傾聴を優先して良いところまで行きましたが、
問題把握力と具体的展開力、口頭試問の応答技法はこれからですね。
この方には有難いことに継続的な指導のご依頼を頂いて、
すでに予約も複数回頂いておりますので、
自信を持って試験に臨める
合格レベルまで成長して頂けるように
お役に立てるように一生懸命、一緒に頑張らせて頂こうと思います。
いよいよ後半戦なので、ロールプレイの中でも気付いた点を
その場で指摘して学んで頂こうと考えています。
問題の本質に迫るスキル
- 「他には?」と思考の拡大を図る質問
- 「重要なのは?」と思考の収斂(引き締め)を図る質問
- 「具体的には?」と塊をほぐす(チャンクダウン)質問
今回の傾向で言えば2の思考の収斂を図る質問を要所で出来ると
問題が絞れて評価しやすかったのではと思います。
見えないものを見るスキル
それと、大切なことが出来ていませんでしたね・・・、
このCLがどうしたいのかという意思決定支援が非常に曖昧です。
「会社の業績が悪化していなかったとしたら、どう思いますか?」
「友人の会社に誘われていなかったら、どのように考えますか?」
それぞれの環境要因を取り除いて、どちらが強い気持ちで、
何が理想なのかを比較させると、見えない問題が更に見えると思います。
CLが本当は何をしたいのか、
どうしたいのか・・・それを把握することが大切です。
言語的に聴いて確認して自分の口で主体的に言わせることです。
本人が悩んでいる「阻害要因」、「環境要因」という
見ているものを見えないように取り除くことで、
本人にも見えないものが我々に見えてきます。
多くの人はこのような目の前の環境要因に捕らわれ
本当にやりたいことの意思決定が出来ていないのです。
今回のロールプレイではこれが出来ていませんでしたね。
これが、CLがどうしたいのかが見えない曖昧さだと私は感じます。
これではCLは元気になってくれませんし、モヤモヤしたままです。
なぜ自分が悩んでいるのかを客観的に体験することで、
元々悩んでいていた自己概念と少しずつ一致して、
自己一致の領域が広がるとモヤモヤがスッキリするわけです。
キャリアコンサルティング・カウンセリング方法は無限にあるので、
正しいか正しくないかではありませんが、
少なくとも私はこういった点に注意しながら、
カウンセリングステップを進めて合格しました。
今回は私が相談者役でなかなか良いロールプレイでしたが、
文章に起こして逐語録としてまとめるとやはり気付きが多いですね。
どこがどのように出来ていないのか、
物凄く分かりやすくて私自身も勉強になります。
次回予告
まずはこのロールプレイのまとめを掲載し、
その後に私が相談者役をやりながらロールプレイをコントロールして、
問題把握と具体的展開力、方策の実行までを体感してもらった
逐語録を整理して掲載できればと思いますので、
問題把握や具体的展開力に課題を感じている方は特にご期待ください。
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