はじめに
名もなきキャリアコンサルタントこと敬天愛人です。
今回は前回の記事の中編の続編になります、どうぞご覧ください。
CL22
育児休業前はまあまあ良かったと思いますし、ただ、復帰した後はお休みなんかも重なってしまってそんなに評価も得られなかったので、そういう面でも話づらいというのはありました。
CC22
じゃあ育児休業から戻った時に同じ条件で上司の期待に応えたかったということで、そこでもご自分が上手くいかなかったからちょっと話づらかったということがあったんでしょうかね。
話がループする原因と対策
KA
CLが「話づらかった」と言っているのに、「話づらかったということがあったんでしょうかね」と確認をしています。
このように応答がループされている方は結構多いですし、なんでグルグルと同じことを言ってしまうのか分からない方も見受けられますね。
このようなケースは、話の内容を方程式のように分けて、構成的に考えると理解しやすいと思います。
例文/CC22
①じゃあ育児休業から戻った時に同じ条件で上司の期待に応えたかったということで、➁そこでもご自分が上手くいかなかったからちょっと話づらかったということがあったんでしょうかね。
①感情への応答(いいかえのような形で促しをしている)
➁問いかけ(要約のような状況確認?)
①+➁の方程式で構成されている応答内容としては悪くないです、単なる感情への応答ではなく、きちんと意図的に問いかけをしようとしています。
一方で➁は要約のような問いかけになっているため、CLにとっては要約で質問されているような形なので「はいそうです」とか「話づらかったです」くらいしか答えようがないような、閉ざされた質問になっています。
例えばなんですが、
①育児休業から戻った時に同じ条件で上司の期待に応えたかった、
➁そこでご自分が上手くいかなかったから話しづらくなってしまったと感じるのですね。
と、まず「①感情への応答」と「➁端的な要約」で分けて整理します。
CLが上司に話づらかったことを受容し、問題を共有する作業ですね。
そうしましたら、ここにプラスアルファで③~⑤のように意図的な問いかけを展開します。
③気付きを促す
上司以外に話せる方は?同僚にはなぜ相談しなかったのですか?
④阻害要因を解消する
上司に相談出来てたとしたらどうでしたか?
⑤本当はどうしたいか聞く
上司に相談すれば良かったと思いますか?
⑥課題として考えさせる
制度の活用や相談出来ないまま、不本意ながら退職するのは嫌でしたよね?
このような問いかけのバリエーションを用いて、適切な表現や使いやすい言葉を選択しながら、①+➁+③のような方程式で文章を構成し、具体的に展開していくと問題の深堀が出来てきます。
問題の深堀りをするために、こういう構成が必要になるとも言えますが、少なくとも③~⑥を使いこなせれば同じような答えは返ってこないはずです。
やはり相談者には色々な話をして欲しいですし、私は技能士として色々な話を聞いてみたいと思いますよ(*´ω`*)
CL23
そうですね、はい、そう思いますね。
CC23
その時のご自分を振り返ってみてどのように思われますか。
CL24
そうですね~、時短勤務とか上司に相談とか・・・。
家族に相談とかもそうですけど、冷静に客観的に捉えられていると不本意じゃなくてうまく出来たのかなと思いますよね。
CC24
当時振り返って頂くと、時短勤務の利用だとか、あるいはご主人にもう少し相談とか、上司についても相談とか、うまく出来ればサポート出来たのかなと思われる。
CL25
う~ん、言いづらくても言うとか、一人で抱え込んだところがあったのかなと思います。
CC25
なるほど、ヨシダさんは頑張り屋さんだから、一人で頑張らなきゃという思いがお強いんですかね。
CL26
う~ん、そういうのもあるかもしれませんね。
「問題把握」
KA
一人で抱え込んでいたのかもしれないという問題点が一つ分かりましたね。
こういった相談者の性格傾向、パーソナリティの問題はしっかり把握しておき、これによりどういった認知の歪みや思い込みがあるのかを、後半に向けての展開で目標共有し、課題解決のための方策にしたり、口頭試問で指摘するためのCLの問題の一つとして捉えましょう。
この後の展開としては、ここで一つ問題把握をしたので仕事のやりがいや転機の前にしていた仕事内容についても深掘りするようにアドバイスをしています。
また、関係構築を深めるためにも、例えば「旦那さんはその頑張りを見ていると思いますよ」「お子さんは頑張り屋さんのお母さんを誇りに思うんではないですかね」という感じで視点を変えてから、承認や労いをすると心の接触度が親密になるはずです。
CC26
そうなんですね、今の生活で物足りなさを感じているということですが、以前のお仕事にやりがいを感じたということなんですかね。
CL27
育児休暇の前は仕事もまあまあ出来てましたし、評価も受けていてやってましたから内容的には満足してましたかね。フルタイムでしっかりやっていてやりがいもありました。
CC27
う~ん、どう言えばいいですか・・・。教えてもらえますか?
「疑問はその場で解決!」
KA
はい、そうしましたら「営業事務の仕事にやりがいを感じられたんですね」と伝え返しをしてもらってから、「今後の再就職に向けてどういった仕事としていきたいのか、引き続き同じような営業事務のお仕事をしていきたいのか」などで、本人の意思を確認すると問題解決の方向性が見えてきますね。
CL28
ああ、営業事務にやりがいを感じておられたんですね。今回、そういった不安や心配を持ちながら再就職ということですけれども同じように営業事務のようなお仕事をなさりたいと思っているんでしょうかね。
CC28
はい、出来れば同じような仕事が一番安心かなと思いますね。長く正社員とかでやっていければと考えていますけど、子供が小さいですから時間があるとはいえ不安な面もあります。
「時間軸を具体的に深掘りする」
KA
時間的な不安の話が出ましたので、例えば「どのくらいのお時間だったら働けそうですか」とか「実際にどのくらいお時間空いているんですか」と確認して展開するのが良いと思います。そうするとCLが具体的にどれくらいの時間を持て余しているのか分かるので、職業におけるマッチング要素の一つとして把握できます。
CC28(リトライ)
時間のお話がありましたけれども、 どれくらいの時間でしたら毎日働けるとお考えですか?
CL29
はい、そうですね~、子供は7時半位に小学校に行きますので・・・その後は家事がありますから、9時から・・・今、小学校2年生なので2時くらいには帰ってくるので・・・一人だと心配ですから1時位までしか働けないですかね。通勤とかもあるでしょうし。
CC29
ではその午前中位のお仕事で営業事務のようなお仕事をやりたいという感じでしょうか。
CL30
そうですね、時間も勿体ないですしそのくらいの時間で同じような仕事が出来ればいいと思うんですよね。
CC30
なるほど、一方で4年前に不本意ながら退職されたということなんですけれども、今回の再就職に当たって同じようにならないように、どうしたらやっていけそうですか。
おわりに
次回は、【第19回キャリコン2級検定/仮想ロールプレイケース5】ver.2 後編へ続きます。
本日もお忙しいところ、
お読みいただきありがとうございましたm(_ _)m
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