はじめに
名もなきキャリアコンサルタントこと敬天愛人です。
今回は前回の記事の中編になります、どうぞご覧ください。
~10分経過~
CL14
時短とかならなんとかね、仕事内容も変えられそうじゃないですか、そう言う意味では周りの見る目なんかも違ってくるし、また余裕が出来たら戻ればいいと思いますしね。
CC14
じゃあ今後再就職される際はそういった制度も利用してという風にお考えですか。
関係構築と問題把握「言語スキル」
KA
制度を利用出来ていないことに気付かせた点はいいのですが、「再就職」というキーワードはCLからの言葉ではなく、要約やいいかえとも言い難い応答なので、まだ出さなくても良い気がします。
この流れで深掘りしていくこと自体は良い流れだと思うんです。
不本意ながら退職した、転機前後の話の流れで深掘りしていますから、トランジションを乗り越えるために必要なサポート資源の一つとして、制度利用をCLに気付かせてほしいところですね。
再就職の話で展開するのであれば、あくまでCLが主体的に考え転機を乗り越えられるように、
「ヨシダさんが必要性に気付かれた時短や会社制度の活用という視点は、今後の再就職へ向けても生かせそうじゃないですか」
という感じで、あくまでCLが前向きに考えられる言い回しの方が指示的なニュアンスの提案にならない気がしますね。
例えば制度利用の問題把握は出来て気付きも促せたと判断して、次のステップへ移行し、
「ヨシダさんがおっしゃる通り制度が活用できたら以前の職場でも結果は違ったかもしれませんね、ところで制度以外では他にサポートしてくれそうな仕組みや周囲で助けてくれそうな方は思い当たりませんか」
などで、
時短以外の資源に気付かせる質問で幅広く展開するのもありだと思います。
再就職の活動の前に、どうして自己資源が活用できていないのかを気付かせる、自己・状況を丁寧に点検して認知の歪みを解消することにより、自己理解を深めるのが先かなと・・・細かいところですが。
CC14(リトライ)
当時はご主人なんかにはどんなお話をされてたんでしょうか。
CL15
主人は大手の商社に勤務しているので、時間が取れないというか普段は家に居ないんです。
休みも付き合いなんかもありますし、夜も遅いのでうまく相談してなかったとは思います。
子供は好きなので休みなどは面倒を見てくれはします。
まあ、あんまり助けは得られない状況ですかね。
CC15
ご主人は休みの日とかはお子さんと遊んでくれるけども、普段はご主人は商社勤務なので帰りも遅いし、そこの助けは期待できなかったということなんですかね。
その時に上司に対してご相談とかはされたんでしょうか。
「問題の深掘」
KA
上司のサポート確認の前に、旦那さんからあまり助けが得られていない状況をどう思うのかを確認すると、もう一段階、問題を掘り下げられるので、その状況について嫌なのか、手伝って欲しいのか、寂しく感じているのか、そういった感情部分を深掘りしてCLの自己理解を促してから次に行きましょう。
CC15(リトライ)
旦那さんは平日は夜遅いし、手伝って頂くのはちょっと無理だと思われてるんですね。
それについてはヨシダさんはどのようにお感じになられているんですか。
CL16
まあ大手の商社なんでそれはしょうがないと思いますし、たまには子供と遊んでもくれるのでわがまま言えないなって気持ちもありますけど・・・、家は両親なんかも離れたところに居て、なかなか家族の協力が得られないので、そういう相談なんかも出来ると少し気が楽にもなるんですけどね。
迷惑かけたくないような気持ちは持っているかもしれません。
CC16
ご主人は大手商社で勤務で忙しいから、迷惑かけたくないなと思われている。
「阻害要因の解消から意思決定支援」
KA
CLの不安というか不満の感情が出ているところですから、繰り返し技法だけで応答するのではなく、
「では、ご家族の協力が得られるとしたら再就職への不安はどうですか」とか、「旦那さんの協力や相談しやすい状況だとしたらいかがですか」などと問い掛けて、阻害要因を取り除いた自由な意思決定を引出すことでCLは前向きになり、自分で転機を乗り越える戦略を考えられるようになっていきます。
CLの主体性を感じ、前向きになってきたら、
意思決定支援プロセスで「意思決定する段階」の選択肢について、
- 目標を選択したことによる利点
- 選択肢それぞれの行動に取り組んだ場合のメリットデメリットを比較
- 選択した行動の準備、リスクマネジメントを一緒に検討し用意する
こういった問いかけをして考えさせて気付きを促してから、意思決定を導くという支援方法を使うといいでしょう。
CC16では、ご両親や旦那さん以外のサポートに気付きを促しても良いと思います。
例えば同年代の友人やママ友、前の職場の同僚、地域の公共機関や働くママを支援する団体などがないかを考えさせる質問を投げかけてみても展開は広げられそうです。
「同じように悩んでいるご友人はいませんか?」「旦那さんが忙しいママ友さんはどのように協力を得ていると思いますか」「他に相談出来そうな方はいませんか」などで深掘りや点検が可能ですね。
CL17
そうですね、なんとか自分で子育てとか育児とか、仕事の方も両立してやっていかなきゃなという気持ちからかもしれないですね。
CC17
ご自分が両立してしっかりやっていかないといけないなと、ヨシダさん頑張り屋さんなんですね。
「承認の仕方と不適切な表現や言葉」
KA
頑張り屋さん・・・承認(賞賛)しているのですが、少し幼い言い方というか、人によっては下に見られているような印象を与え兼ねない言葉に聞こえませんか?個人的にはカウンセリングで繰り返して使う表現としては少し不適切に思いました。
少なくとも私がCL役だったとしたら、承認や賞賛されてもあまり嬉しく受容できない褒め方、言葉です。
例えば「ヨシダさんは責任感が人一倍強いですね」とか、「一人で最後までやり切ろうとする方なんですね」と承認していくことで、CLには抱え込みやすい性格傾向があり、相談できないことが問題である点を共有(問題把握)していき、その問題を解消するための戦略(目標共有)に繋がる展開なんかも良いですね。
CL18
一人で何とかしようと思っちゃったんですかね。
CC18
振り返ってみて、一人で頑張るっていうご自分に対してどのように思われますか。
CL19
結果的には不本意で退職になってしまったので、旦那にも少し話をした方が良かったのか、時短勤務の話ありましたけど、そういう制度も利用しなきゃいけないのかなとか、そういうのを上手くやると次にも生きますよね。
CC19
なるほど、時短勤務もそうだし旦那さんにももっと相談した方が良かったかなと。
そういう辺り気を付ければいいのかなって思われる。
「意図的な問いかけの引き出しが少ないと・・・」
KA
繰り返しで応答した後に、意図的な問いかけのバリエーションが無いのでCLにそのまま抽象的な質問で返しています。
これだと同じような話がループしてしまうことになり、CLも困ってしまいますし、気付きも促せずカウンセリングの流れも滞ってしまいますね。
例えば、「次の再就職へ生かすためにも、旦那さんへの相談方法や会社制度の活用が出来るように一緒に考えてみようと思いますがヨシダさんはどう思いますか」などと、具体的な流れで一回目の目標共有の同意を引きだしても良いと思います。
この後にCLと目標共有にズレを感じたら、またシステマティックに目標共有の作業へ戻ればいいのです。
CL20
う~ん、なかなかその辺がうまく出来ないのかなと思いますね。
CC20
う~ん、上司に対してはどうなんでしょう。
CL21
戻った時とかですか?育児の前とか?そんな込み入った話はしなかったですね。
せっかく同じような条件で職場に戻してもらって、あんまりそういう人いないんですよ、寿退社が多いのでそういう相談あまり出来なかったですね。
CC21
そうなんですか、そういう同じ条件で戻してもらう方が少ないということで、ヨシダさんどうなんでしょう、上司からの評価もどうなんでしょうかね。
おわりに
次回は、
【第19回キャリコン2級検定/仮想ロールプレイケース5】ver.2 中編➁
へ続きます。
本日もお忙しいところ、
お読みいただきありがとうございましたm(_ _)m
個別指導のご予約はこちらから
受講生ファーストで指導させて頂きます。
論述・実技面接対策テキスト販売中
キャリコン2級検定試験対策のテキストも販売しています。
ご興味のある方、お待ちしております!
試験対策講座関連の過去記事はこちらです、
合わせてお読み頂けると大変ありがたいです。