はじめに
名もなきキャリコンこと敬天愛人です。
キャリアコンサルタントにとって話を聞くスキル、
傾聴力というのはとても大切です。
キャリアコンサルティング技能士2級の実技面接試験では、
基本的態度と関係構築力という評価区分があり、
コミュニケーションスキルなど、
傾聴スキルが高いとそれだけでも非常に有利になります。
営業やサービス業、接客業の方をはじめ、
お客様のニーズや顧客満足度(CS)を上げていく上でも重要ですね。
でもどのように人の話を聞くと、
相手が話しやすいのか分からない人もいるかもしれません。
そんな話の聞き方を改善したい方、
ビジネスシーンやプライベートでも役立てていきたい方のために、
今日は「アクティブリスニング」を分かりやすくご紹介致します。
アクティブリスニング(積極的に聴くということ)とは
積極的に聴くということを、まずは事題を見ながら解説していきます。
次の2つの会話のやり取りを比べてみて下さい。
【事例1】
主任:主任、その業務命令は納得できません。今日中には無理です。
上の人は私たちのことをどう思っているんでしょうか。
課長:でも命令だからね。今週は忙しいし、本当のところ、
できるだけ早くやってもらいたいんだ。
主任:プレスが故障していますから今週は仕事が遅れているんですよ。
上の人は知っているのですか。
課長:そんなことは知らないよ。私は命令通りに仕事が進むように
監督するだけだよ。それが私の仕事なんだ。
主任:うちの部下は怒りますよ。
課長:そこを君が何とかすべきだよ。
【事例2】
主任:主任、その業務命令は納得できません。今日中には無理です。
上の人は私たちのことをどう思っているんでしょうか。
課長:やけに気分を悪くしているじゃないか。
主任:それはそうですよ、プレスが故障して仕事が遅れていたんですよ。
やっと遅れを取り戻せたと思ったらこの仕事ですよ?
課長:同情がないってわけだね。遊んでいるわけじゃない、
そんな急に言われたってできるものか、ってことかい?
主任:そうですよ、うちの部下にどう説明するか弱っているんですよ。
課長:今の忙しさじゃ言い出しにくいってことか。
主任:そうなんですよ。今日は無理してますからね。
こう急ぎが多くてはやりきれませんよ。
課長:部下がかわいそうだって思っているんだな。
主任:ええ、上の人も忙しいんでしょうけど・・・まあ仕方ない、
なんとか頑張ってみますよ。
如何ですか?
少し分かりやすくするために極端な例を作成しましたが、遠からずだと思います。
この2つの例を比べてみると、いろいろな違いが感じられますね。
しかし大きな違いといえば、2番目の例の課長が、
《積極的に聴くということ(アクティブリスニング)》
をしているということです。
この課長の話の聴き方と応答の仕方をみると、
主任の言葉の「意味」とその背景にある感情に
耳を傾けていることがわかります。
『わたしはあなたの言っていることを
あなたの立場で聴いています』
と、相手に伝えることが大切なのです。
傾聴力のレベルを表にまとめると下のようなイメージになります。
図表1 傾聴のレベル
良い聞き方とは
では傾聴について理解を深めてきたところで、
良い聞き方の5大要素を紹介します。
図表2 良い聴き方の5つのガイド
この5つを意識して傾聴すると、
あなたと話している人はとても話しやすく感じるはずです。
下の図表で相づちのバリエーションもご紹介します。
図表3 相づちバリエーション
如何ですか、相づちにも色々ありますので、宜しければ使ってみて下さいね。
「わるい聴き方」
では、反対にわるい聴き方についても知っておいて頂きたいと思います。
- 一方的に話す(説明、お説教ばかりで質問やあいづちがない)
- 自分の都合のいいように相手の話を焼き直して聞いてしまう(聞きたいように聞く、思い込みとも言えます)
- 事前に予定された課題、テーマがあり、それに話を戻したい(誘導尋問)
- 他の人の不備な点を見つけようとしている(批判的に聞いている)
- 自分が正しいと決めてかかっている(他の人の価値を認めていない)
- 他のことで頭がいっぱいになっている(会話に集中できない)
- 質問を受けた時に、自分の意見やアイデアを出すことに不安を感じている
- 他の人に興味、関心がない(倫理的な解釈だけになっている)
ちょっとしたことですが、こういったフレーズや話し方に気をつけると、
より会話がスムーズで相手もあなたの言っていることを受け入れやすいです。
終わりに
積極的に聴くこと、つまり、
本当に相手を理解するためのコミュニケーションの方法は、
社会人として大切な技能であり、個人、グループを問わず、
人間が変わっていくことを促進するための有力な方法です。
本当の気持ちを掴み、それを的確に表現できるようになれば、
その人は信頼されて安定した人材になることができます。
しかも積極的に聴くという技能は、建設的な、
相手を想う心を持つことにより、自由で民主的な、
寛容と温かさに満ちた雰囲気を作り出すことができるのです。
その雰囲気こそ、人間が成長し、
変化することのできる雰囲気だと思います。
今後の日常生活やビジネスシーンで活用して頂ければ幸いです。
まさにキャリアコンサルティング技能検定は、コミュニケーションスキル、
いわゆる対人スキルの最高峰の検定試験だと思います。
対人スキル、コミュニケーションスキルをビジネスシーンで極めたい方は、
産業カウンセラーやCDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)の
キャリアカウンセラー資格等の養成講習や、
国家資格キャリアコンサルタント、その上の2級技能士(熟練レベル)、
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人材派遣業界や福祉業界で採用・人事担当を中心に、
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このスキルで、いつか人事部長や総務部長に出世して下さい。
本日もお読み頂きありがとうございましたm(_ _)m
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キャリアコンサルティング技能検定に
興味を持った方がいらっしゃいましたら読んで見て下さい。